師走になってから急に焦ってまとめ記事を更新していくスタイル!!!
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はい!今年もインド映画が熱かったですね!たぶん!!!(別に他の映画ファンと交流がある訳ではないので空気感が分からない)(友だちがいない)
そりゃインド全域では年間で数千本製作されるというインド映画、その頂点を極めた数本を日本で見せて頂いているわけなので、面白くないはずがなく、っていうね!
『RRR』の規格外の大ヒットのおかげで(1年経ってもまだ上映館がいくつもある!)インド映画の買い付けと公開規模の拡大が目立った2023年でしたね。なのでマジでたくさん観ました!!!余裕で180分超えてくるからスケジュールの確保が大変なのだが……。まあその甲斐のある超大作・娯楽作が目白押しで、楽しませて頂きましたよ!!!
にしても多いので、個別の感想は…ごめん無理かも…
観た順ではないです。書きやすい順。
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『WAR ウォー!!』『バンバン!』(ヒンディー語)
去年、『スーパー30 アーナンド先生の教室』で素晴らしいヒューマンドラマを見せてくれたリティク様のスパイアクションもの!アクション俳優が本業(本業?)だったんか!!!!ってなった2作。いや~、こんな人類、実在するん?(するよ)
どちらもサービス精神とエンタメ力(ぢから)が画面からあふれて納まらず、観客が受け止めきれないほどの超大作であった。『WAR ウォー!!』は2019年(日本公開は2020年)、『バンバン!』は2014年(日本は今年が初公開、たぶん)の作品で、リバイバル企画みたいな感じで立て続けに観たんですけど、ダンスもアクションも美術やセットも、リソースのかけ方がすごいので、これに眼が慣れたら他のアクション映画が観れなくなりそうだった。実際ちょっとやばかった。
あと現実の政治的緊張をこういう娯楽大作にガンガン出してくるのは、インド国内の市場が巨大だからかな~と思いました。ハリウッドの大作だと、もう少し各方面に配慮するじゃん?(全世界で興行収入を稼ぐ必要があるため)
『PATHAAN/パターン』(ヒンディー語)
シッダールト・アーナンド監督!!あんたすげえよ!!てなった三作目。
ひとつ間違えば荒唐無稽になりそうなところをギリギリで回避しながらお約束の展開をパワフルにバージョンアップする演出力!大量のリソースと莫大な期待と世界を統べる王のごときスター俳優を使いこなす剛腕!マジで一見の価値がある…っていうか同時代にいてくれてありがとう、っていう感謝しかない。配給および上映に尽力してくださった日本のみなさんにもありがとう……(落涙)(落ち着いて)。
ちなみに本作も割とホットな政治的トピックを扱っていて、まあ強権的な政治体制だからその意向に沿った内容ではあるんだろうけど、それにしてもどストレートだなあ!と思ったことでした。
それからあれよ、インドのインテリ階級の間では日本の「禅」的な精神論が流行っているのか?まあ西欧とは別の(アジア的)価値観にフィーチャーする必然性があるのは何となくわかるけどね。
『ブラフマーストラ』(ヒンディー語)
ちょっと脚本が混乱していたが、インド神話(とひとくちに言えるものでもないのでしょうが…)を元ネタにしたヒーロー覚醒ものということで、続編への意欲を隠さない構成は嫌いじゃないよ。豪華キャストも(本国では)話題だったらしいが、そういうの分からんくてごめん……ってなった。
『響け!情熱のムリダンガム』(タミル語)
これ!2022年後半の話題作をようやくわが町でも観れたってワケ!!
現代インドを舞台に、カースト制度に代表される複雑怪奇な階級(階層?)社会をサバイブするタフな若者の姿を生き生きと描き、インドの豊かな音楽文化の一端を垣間見せてくれる素敵な青春映画でした!
いやほんとに、登場する楽器の多彩さには目を見張るものがあった。熱意のかたまりみたいな充実したパンフレットに、映画内で登場する主な楽器(特に打楽器)の名称と解説が載っているので、その英語名でYouTubeを検索すると時間が無限に溶けていくからおススメだよ!うろ覚えなんだけど、両手でリズムをとるタイプの打楽器で、右手で5拍子左手で17拍子とかやってたりするらしいんですけど(そんなことある!?)、そのあたりは素養がないので全然わかりません。でも楽しい。
『サルカール 1票の革命』(タミル語)
タミル語映画、強いな!!去年『マスター 先生が来る!』でご尊顔を拝した大スター・ヴィジャイ大将が主演の社会派エンタメです!
タミル語映画は、他と比べて社会問題を取り上げる傾向が強いらしいのですが、これはまた直球なのが来たな、という感じです。インドの政治的腐敗、弱者への抑圧的政策などは時々ニュースなどで耳にしますが、それに対峙する人々の熱量もまた凄まじいものがある。
こういう映画でも、ヒーローは貧しい出自から成りあがった人物なのはお約束だね。地域の反骨精神が託されているのであろう。
映画で示唆される実際の出来事やインドの選挙の仕組みなどの解説があり、鑑賞の役に立つ大変ありがたい記事↓(2019年の映画祭で公開されたときの情報のようです)
『サルカール 1票の革命』鑑賞に役立つ予備知識|インド映画Note
『ランガスタラム』(テルグ語)
で、こちらは粗筋をさらっと読んでおぉこれも不正選挙の話か…ホットな話題なんだな…とか思っていたら後半の展開でひっくり返ったやつ。貧しい村で様々な抑圧に耐えながら現状維持を目標に生きている人々が、ある兄弟の行動によって盲を啓かれる…みたいな展開なんだけど、後半で急にリベンジノワールみたいになるんだよな…あーびっくりした。
あとこれは単なる推測だけど、インド映画(って一括りにしてごめんよ)の俳優の演技メソッドって、たぶん独特だよね?求められる資質も、発揮すべき能力も、西洋を中心に発展した演技術とはぜんぜん違うことをやっている気がする。ということを、本作の主演であるラーム・チャラン氏の『RRR』を思い出しながら考えたのでした。
『K.G.F:CHAPTER1』『K.G.F:CHAPTER2』(カンナダ語)
敵対する悪役が強ければ強いほど、主人公が輝く!それはそうなんだけどさあ…!っていうのを何度でも味わえてお得(お得?)。主役のロッキー兄貴を筆頭に、メインキャラたちの強烈なビジュアルと外連味たっぷりのアクション演出が良いね!
いやアクションていうよりはほとんど超常現象みたいになってたけどな…俳優陣の運動能力が高すぎる。基本的に派手な特殊効果は爆発炎上くらいで(全て本当の爆発である可能性もあるが)、群衆も含めて本物志向が前面に出ていて、マジで町ひとつくらい潰してないか???ってなった。インドは広いからな…(偏見)。たぶん邦画だとハイローシリーズとかの系統なんだけど、闘いに出てくる俳優がみんないい面構えのおじさんたちで(あと髭)、この美意識は本当に癖になるね。
「カンナダ語」てちょっと珍しいな?と思ったら、やっぱりインド映画界でもヒンディー、テルグあたりに比べると弱小勢力らしい。とはいえこの規模(巨大な鉱山を全部吹き飛ばすくらいの規模)のノワールヒーローものを撮れる時点でだいぶ巨大市場だと思うが……。ヒンディー語映画との洗練とはまた違う、土埃と金と血の匂いが充満する大作ノワールアクションを観れて楽しかったです!続編、あるんか!?
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ここからの3作は、「熱風!!南インド映画の世界」という特集上映で上映されたのを観に行きました!いずれも劇場上映初、または日本初上映だそうです。混んでる映画館に行きたくないあまり、上映回数が少ない映画祭とかの特集上映には一切足を運んでいないのですが、この企画は全国各地でわりと長い期間をかけて開催していて、各作品の上映期間もずらしながら1~2週間確保してあり、行きやすかったので良かったです(映画館が儲かったかどうかは不明だが…)。ちゃんとしたパンフレットまであって、とても充実した企画でした!
『ヤマドンガ』(テルグ語)
こちら、『バーフバリ』シリーズや『RRR』でお馴染みS・S・ラージャマウリ監督の2007年の作品ですね!『バーフバリ』が日本でヒットするまで、インド映画といえば『ムトゥ 躍るマハラジャ』のイメージで、その間約10年間のあまりの超進化に腰を抜かしたライト映画ファンの自分にとって、ちょうどその間を埋めるような作品だと思いました。
美形ヒロインとの運命のロマンス、無敵イケメン主人公の成り上がり、華やかなダンス、煌びやかな寺院、緩いギャグ、決め台詞、完全無欠のハッピーエンド、それらのお約束を全て盛り込みながら、予想外の展開や斬新なアクション、アイディアに満ちたダンスシーン、主役以外の登場人物たちへの繊細な眼差し、そういった監督らしい要素がすでにそこにある。ていうかさ、ハッピーエンドが確約されている3時間のコメディを飽きさせずに引っ張る剛腕がすごいよな。まさに唯一無二の才能。
『プシュパ 覚醒』(テルグ語)
特集上映の中では最も新しい本作。『ランガスタラム』の監督なんだね!?意外っちゃあ意外。でも現代の社会問題とサスペンスを絡ませてエンタメに落とし込むのが作風なのかも、と思えばなるほど。
本作もノワールヒーローもので、こういう才覚と腕力で成り上がる話が熱狂的に支持されるインド社会というのも大変なことだなあと思ったりする。それはそれとして、そういう映画が面白いのは間違いないのですがね。人気俳優によるヒーローものなので主人公は顔色一つ変えずに困難を打破していくのだが、後半、続編への布石として出てくる敵二人がめちゃくちゃいいキャラクターで、本当にびっくりした。こういう魅力的な悪役を創造できるところが、インド映画(たぶん特に南インド)の強みだなあと思いました。
『サイラーナラシムハー・レッディ偉大なる反逆者』(テルグ語)
20世紀初頭、南インドのレーナードゥ地方で英国軍に反乱の狼煙を上げた実在の領主をモデルにした英雄譚!
英国から条件付きにせよ身分や収入を保証されていた領主クラスの人物で、初めて組織的に武力蜂起したのがこのナラシムハー・レッディとされているそうで。しかし史実としては、本当にインドが独立できるのはこの戦いから100年も先のことになるわけで、後半はもう胸が痛くてしんどかったです。
志半ばで倒れた何十人もの英雄たちの犠牲の果てに、インドという国を手に入れたことを思うと、西欧諸国を便利に利用しながらも彼らとは全く別の価値基準で国を豊かに強くしていこうという為政者の気持ちはまあ理解できるよね(それを実現する手段の是非はともかく)。あと、こういう国民的統合を目的にするような娯楽作品が熱心に作られるのも納得がいく。しかし本作は独立心旺盛な南インドから出てきた、という点が割と重要な気はしている(『RRR』の二匹目のどじょうを狙ったのもあるとは思うが)。
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『燃えあがる女性記者たち』(ヒンディー語)
ドキュメンタリー映画です!感想は別記事で書いたのでそちらどうぞ!しかし現代インドの社会派ドキュメンタリーまで映画館で観れるとはね。それだけインドに関心のある層が広範囲になったということなのであろう。
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あとは配信で見た旧作…
『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』(ヒンディー語)
象の密猟者と戦う獣医!顔と身体が良すぎる!!!
ちょっと変わった格闘術を使っていたのでそのへんもっと観たかったですね!上映時間115分てえらい短いな…と思ったら、監督がアメリカの人なのであった。象がかわいい。
『きっと、うまくいく』(ヒンディー語)
初見だよ!本作を観る直前、南インド映画ばっかり観ていたので2009年にしてこの洗練…!?となったのであった。どっちも好きだよ!
インド最高学府を巡る熾烈な出世競争、カースト制度の外へ出ることの難しさ、青春のゆかいな冒険、成長、ほろ苦い思い出、甘酸っぱい恋、ぜんぶ詰まってインドらしさと普遍性の両方を獲得した映画なのであった。なお、インドの大学寮の雰囲気が良く出ているらしい…野蛮!(まあ20歳そこそこの野心的な男子を一か所に集めたらああなるだろ、という普遍性…やっぱり野蛮!)
ストーリーの捻りも効いてて、世界中で大ヒットも頷ける話ですよ。いや面白かった。
主演のアーミル・カーンは本作の撮影時40歳を超えていたらしく、ウソだろ!?と思いました(普通の感想)。
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はい!長くなったので(インド映画だけにね!やかましいわ)ここまで!!!
なんかこう、ハリウッド的な映画文脈とはまったく違うところで大きく育ったインドの映画文化の、ほんの端っこにでも触れることができて楽しかったです!!
みんなもインド映画沼で溺れている人たちを眺めながら、インド映画を楽しもう!
では!!!!!