窓を開ける

今のところ映画の話をしています

映画「闇の子供たち」を観て江口洋介に開眼する

あの映画を観て書く感想のタイトルがこれかい、っていうね。

阪本順治監督、信頼できる
江口洋介、良い。韓国ノワールに出てくれないか
宮崎あおい、微妙…

以上のようなことをダラダラと書いておりますので、合わなさそうな方は自衛してね!あとネタバレしてないと思うけど、自信は無いので気を付けて!!

 

いやすごい映画でしたよ、ほとんどのシーンがタイで撮影されていて、邦画というよりはアジアンノワールの趣き。そもそも邦画をあまり観てないので阪本順治監督の作品、はじめて観たんですが、演出や話運びがハードボイルドで良かった...。あとテーマに対してすごく誠実な感じがしましたね。観てるだけでもなんとなく分かるんですが、Wikipediaによれば子供が出るシーンの撮影にはかなり配慮しているみたいだし、とにかく「ちゃんとしてる」。ので、ヘヴィなテーマではあるのですが安心して観れます。作り手の倫理観っていろんな形で作品に影響を与えていて、それが自分と合わないとテーマが重い場合はかなりキツイんですが、阪本監督は大丈夫だった。良かった。ハリウッドのブロックバスター系の作品ではそのあたりを集団作業でアップデート&矯正しているけど、邦画はプロデューサーだか監督だかの裁量で作っちゃってる感じがして、それも邦画をあまり観ない理由です。合わないとホントに凹むからさ。子供向けのアニメ映画でさえ作り手のヤバさ(悪い意味です)がそのままなことがある本邦で、落とし穴に落ちないようにするのは結構たいへんよ。

とは言え本作、出てくる大人の8割はガチでクズ野郎なので、元気な時に観ることをお勧めします。

いやそれで江口洋介の話なんですけど。こっちが本題なんですけど。

もちろんこれまでにもドラマとかでは拝見していたんですけど。この映画を観て、あれ、こんなに良い俳優だったっけ??て思ったんですよ!!なんか顔が良すぎてドラマとかで浮きがち?なのか?二枚目の役柄が多くて、そりゃこの顔とスタイルでそんな台詞を言ってたら当然かっこいいわ、みたいな印象しか無かったんですけども。「天空の蜂」とかそんな感じ。ま、そんなに数は観てないですけど(←予防線をはる)。

タイだと割とみんな顔が濃いから(平たい顔族比)、もちろん江口洋介の顔とスタイルは相変わらず良いのですが、なんか馴染んでいた。一時帰国した場面で「日焼けしすぎ」みたいなことを言われていたのも駐在員あるあるで良かった。それであの長い手足でバイクにまたがってタイの屋台通りをすり抜けていくのとか、すごい良かった。何気ない動作のひとつひとつが華やかで、東南アジア特有の猥雑な背景の中に花が咲いたみたいでしたね。

むしろ宮崎あおいが浮いていた。よね??演技の幅が狭いのは仕事を選び過ぎなせいでは???と昔から思っていたのですが(大河ドラマ篤姫やってたときもちょっと思ってたけど。てかこの映画と時期が近いんだね、なるほど?)、本作でもそんな感じだった。けっこう複雑なキャラクターだったのでもうちょっと上手い俳優に演じて欲しかったですね。宮崎あおいだとただのいい子(≒バカ)に見えるからさ...。

江口洋介の話に戻るんですけど(本題だから)、大河ドラマ軍師官兵衛」に出てた時は外連味のある織田信長役が、"みんながすきなやつ"って感じで良かったんですけど、現代ドラマだと華やかさが仇になるというか、活かしきれてない印象がありまして。俳優本人ではなくプロデューサーとかの問題だと思いますが。

それで今回、東アジア的混沌の中で走り回っているのを観て、手足が長いのでアクションが映えそうだなと思いまして、「新感染半島」(←気に入って映画館で2回観た)とかに出てても違和感ないよなーとか考えていたところで思い出しました。映画のるろ剣斎藤一役で出てましたね、あれ良かった。そもそもの世界観が原作漫画そのままで特濃だし、主人公含めみんなキャラ濃いし、洋装をビシッときめて長い日本刀で闘ってるのめちゃくちゃ派手で良かったな。

「コンフィデンスマンJP ロマンス編」のヤ〇ザ役も良かったけどさあ、アクション無いからねえ、勿体ない。

やっぱ韓国ノワールに出るしかない。とかいってそれ系(それ系??)のやつ「新感染」2作、「新しき世界」「神の一手」くらいしか見たことないんですけどね。江口洋介に出て欲しい感じ、伝わりますかね?(知らんがな)韓国の俳優さんとキャラ被るから難しいか。いやそこを何とか。

あの社会派映画を観てこの感想、馬鹿じゃないのかと自分でも思うので、ここまでうっかり読んでしまってまだ映画「闇の子供たち」観てない人はぜひ観てきて欲しいです!!

では!!!

映画「シンプル・フェイバー」を観てポール・フェイグ監督のオシャレセンスに恋をする

センスの欠片も無いタイトルなのは申し訳ないっ!!(土下座)

ポール・フェイグ監督作品の好きなところ
・コメディ映画でも俳優をちゃんと美しく撮る
・時事ネタギャグを恐れない
・女性に対する理解が深いうえにポジティブ(たぶん本人めっちゃモテる)
・小物やセットや衣装がオシャレでかわいい(本人もオシャレでかわいい)
・(たぶん)俳優が演じる環境を整えるのにこだわってて、その結果良い演技を引き出してる
・上記のすべてに妥協しない
・その結果、観たら元気出る!!

ということで以下の長文は蛇足です!

SPY/スパイ」、2016年版「ゴーストバスターズ」、「シンプル・フェイバー」の話をしていますが、そして致命的なネタバレはしてないつもりですが、観てない人は観たほうがいいよ!!!(というようなことを長々と書いています)

いとしの〈ロッテン(腐った)〉映画たち 映画批評サイト「Rotten Tomatoes」がおすすめ|書籍|竹書房 -TAKESHOBO-

ポール・フェイグ監督、いいですよね!!こんな↑タイトルの本(失礼!)に序文を書いてる時点で、「映画好きの映画人」なんだろーなーってニコニコしちゃいますね~!!

実はですね、わたくし、2016年のリブート版「ゴーストバスターズ」、大好きなんですよ(もったいぶるほどのことではない)。とにかく俳優の皆さんが楽しそうで、ガジェットや屋内セットのセンスが良くて、時事ネタギャグの連打を恐れず、キッチュで、レトロで、こんなカワイイ映画、嫌いな人おる???て観ながら真剣に考えていたものです(中華弁当のテイクアウト美味そう~~!!て思いながらな!)。アメリカでは主演メンバーの俳優が酷いバッシングを受けたり、製作陣へも不当な圧力がかかっていたみたいですが、そいつら絶対この映画みてないよな(まあ企画の時点で色々あったらしいですね)。

個人的にはオリジナル版に思い入れが無いので、そのせいもあるのかなーとは思いますね。もちろん、平成の初期に地上波テレビで放送していたやつをビデオに(ビデオに!)録画して何回も観ましたよ、ええ。モンスターのビジュアルとかはもう昭和生まれの必修科目ですからね。でもうだつの上がらないオジサンたちが大騒ぎする映画が小学生にとってものすごく面白いかというと、うーん、「天使にラブソングを…」のほうが好きかな!あと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」!

 何の話だっけ、ポール・フェイグ監督の話だよ!

それで2016年版「ゴーストバスターズ」がすごい気に入ったので、前作「SPY/スパイ」をレンタルで観たのですが、これがまた面白いじゃん!ていうね。CIAみたいな諜報機関の事務方で働くメリッサ・マッカーシーが、なぜか前線に出る羽目になるっていう粗筋だけで面白そうなんですが、本当に面白かった!(今調べたら、ゴールデングローブ賞作品賞ノミネートじゃん...そりゃおもしれぇわ)

アクション・コメディなのでもちろんギャグシーン満載なのですが、ちゃんとスパイ映画らしいスタイリッシュさを堪能できるんですよね~。なおこの映画でジェイソン・ステイサムのことだいぶ好きになりました。主演映画ではいつも渋い顔してつらそうな(or怒ってる)のに、この映画ではめっちゃ生き生きとポンコツ役(ただし超セクシー)を演じてて良かったです。「ワイルド・スピード SKY MISSION」とどっちを先に撮ったんだろう、あのステイサムも良かったけど、ちょっと勿体なかったから「SPY」の勝ちだな(なにが)。

いずれにせよですね、この二本を観て、おお、ブレないタイプの監督だ、と思ったわけです。「ゴーストバスターズ」でさえ自分の作品にしてしまうタイプですね。ていうか「ゴーストバスターズ」の続編をつくろう!→やっぱ女性メンバー入れなきゃ!→女性メインのコメディといえばポール・フェイグ!ってなったの天才(知らんけど)。

それで最近になってようやく「ゴーストバスターズ」の次作、「シンプル・フェイバー」を観れて、やっぱ監督のセンス好きだ―!!となったのでした。

いや作品紹介を読んだ時点ではサスペンス・スリラー??え??ってなったのですが、まぎれもなくポール・フェイグ監督作品でしたね!しかし基本プロットは確かによくできたミステリー・ノワールなので(原作あり)、なんでこれポール・フェイグ監督が起用されたんでしょうね???

なんていうか、女性メインのミステリーで、主役級の女性キャラ全員を友だちの友だちくらいにいそうな感じの人、として演出するのすごい新鮮だったです。得体のしれない隣人、とか酷薄そうな美女、とか親切だけど間抜けな友人、とかそういうのではなく、ただ、ああ、そういう女の人っておるよね、ちょっと変わってるけど友達にいたら楽しいよね、みたいな感じの人として最後まで描ききるのすごい。ミステリーとしての仕掛けとか捻りもあるんだけど、明らかに二人の主演俳優の、知り合いにいそうな感じ、が展開の読めなさをブーストしている。

あとは当然ながら、主演二人の対照的なファッションが見どころでしたね!めちゃくちゃかわいいアナ・ケンドリック VS 超スタイリッシュなブレイク・ライヴリー。眼福だったわ~~。最初から最後までオシャレだったわ~~。

ということで、この素材(サスペンス)をこう撮るのか!っていう驚きとともに改めてポール・フェイグ監督いいな、って思ったのです。ちなみにサスペンスなんだけど観終わった後はちゃんと元気出る仕様なので!さすがだ!

"ポール・フェイグ"で画像検索したら出てくるけど、とにかくオシャレで楽しそうなんよね~素敵だわ~~映画の雰囲気そのままですよ、作品じゃなくて本人のファンになってしまいそうですね(別にいいのでは)。撮影のメイキングとかもめっちゃ雰囲気いいんよね。やっぱり自らの俳優としてのキャリアとか経験を踏まえて、そういう現場にしようとしてるんだろうか。その辺はよく知らないですけど(知らんのかい)。

まあそういう訳でですね、これからもポール・フェイグ監督、推していこうと思います。

では!!!!

映画「ブラック・クランズマン」の冒頭とラストの映像は蛇足ではない

なんか最近の記事が長すぎるので(自分で書いておきながら)、タイトル出オチの短いやつ書きたいなーと思って選んだのがこの話題。もう言いたいことは書いたけどこれで終わるのもアレなのでちょっとだけ続きます~。

※※※

映画「ブラック・クランズマン」、よかったですよね~~!!なんていうか、エンタメであることを諦めずに、"正しく"あることや、怒りを表明することを恐れない感じが勇気づけられるというか。正面突破一択!!みたいな感じの監督の腕力が好ましいというか。

(それにしてもアカデミー賞を獲った作品て、どの部門でもエンタメとしての完成度が抜群に高いなといまさら感心しております。間口が広くて後味が爽やかなんだよな~なるほどこれがアカデミー賞か~ほぉ~~)(初心者の感想)

主演二人の佇まいがまた素晴らしかったですね!!アダム・ドライバーの出演作品、初めて観たんですが(たぶん)、思ってたよりいかついな?!?!て思いませんでしたか!!思いました!!

なんかスパイク・リー監督が怪気炎をあげているらしい、くらいの事前情報だけで観たのでいろいろ新鮮で面白かったのですが、特に主演二人の、"正しい"側にいることに気負いがない、自然体なのが本当に良かったです。おそらく二人の生い立ちや属性にその理由をもっと雄弁に語らせることもできたと思うのですが、それはしないんですよね。その抑制的な脚本?演出?が、センセーショナルな題材にうまくはまっていて、映画の技術力感じる~~!て思いました。ベテランの余裕てやつですか。

主演二人と同じように、白人至上主義者のリーダーもまた自然体なんですけどね。ウィキペディアで引用されているインタビューで、トファー・グレイスが「彼が好人物に見えることこそが恐ろしい」と述べていますが、それに付け加えることはないです。はい。

あと、悪名高い映画「國民の創生」を大勢で鑑賞するシーンがあるんですが、観客の無邪気な盛り上がりとかにぞわっとしました。ここの演出も冴えわたってました。監督の怒りと悲しみが痛いほどに伝わってくる印象的な場面です。

それで、この映画の舞台が1972年なので、上に書いたような人たちや光景は、監督(1957年生まれ)の「いつか見た風景」なんだろうなと思います。白人至上主義たちと、被差別属性をもつ人たちが、同じ時代、同じ場所を生きていながら絶望的なまでに隔たっている感覚("自然体"だから、それに気付くことさえない)。監督がこれまで観てきて、そして作品で扱ってきた世界の分断そのもの。

だから、冒頭とラストのあれは、監督からの「ただのエンタメとして消費することは絶対に許さん!!」というメッセージなんですよね。そりゃそうなんですが、それを観客の手に委ねない、という強い意志。でもこれ中身の面白さに100%の自信が無いとできないよね。さすがだ~!ほかのもっと抽象的な問題へのすり替えを許さない、まさにBLMがそのスローガンに込めた思いがそのまま映像になったような作品だなと思ってすごい感銘を受けたので、絶対に蛇足では無いです。

無いほうが普遍性を獲得できるのでは、みたいな感想をどっかで読んだけど、それこそ監督がやって欲しくないことだろ、と思いました。なのでこの文章のタイトルに行きつくわけです。賞レースには不利かもしれないけど、でもこのスタイル(ものすごい前のめりのファイティングポーズ)で殴りこんで来たこと自体が、監督のやりたいこと、作家性だと思うんですよね。ただの妄想ですが、たぶん編集とかの段階で誰かに「最初と最後のやつ、もっと控えめにしたほうが賞を獲りやすい」って絶対言われたはずなんですよ。で、それを一蹴してあのかたちに仕上げているわけですよ。知らんけど。その覚悟を、そのまま受け取ろうじゃありませんか。ねえ。

※※※

タイトル出オチの割には長くなったけど、いい映画(映画に限らず文学、絵画、音楽、漫画も)って、語りたくなるよね!いろんな人が語っているにもかかわらず自分もなにか言いたくなるのが、名作ってものなんでしょうね!!!

ではーー!!

映画「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」を鑑賞してぐうの音も出ない

スタジオLAIKAを世界遺産にしよう!!!

(たわ言)(たわ言ではない)

なぜこれを??実写で???やろうと???どゆこと??でお馴染みのスタジオLAIKA最新作、「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」をようやく観たのですが、信じられないくらい良かったのでその熱狂冷めやらぬままに「コララインとボタンの魔女」「ボックストロール」「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」を改めて配信で観ました!!ワーッ!

でその結果、「ミッシング・リンク」の超絶技巧に改めて驚嘆し、それはそれとして、作り手の"より良いものを世界に残そう"という一貫した姿勢に感銘を受け、スタジオLAIKAマジで推せるな(今さら極東の島国の片隅から推されても、とかいうのはさておき)と思ったので冒頭の発言になりました。いやこれまで全作品アカデミー賞ノミネートですからね、とっくにちゃんと評価されてるんですけどね、まあでも語りたいよね!語らせろ!!!という気持ちのままに書き綴ります。

致命的なネタバレはしてないつもりだけど、まだ観てないならこんな文章読む前にぜったい観てよね!約束だよ!

 

・超絶技巧の実写化(実写化??)その1・キャラクター、小物類

とにかくキャラクターデザインが秀逸~~!本作では何といってもおじさんが主役なので、絵面が地味だな?その隣の茶色いもじゃもじゃしたやつはなんだ?みたいなメインビジュアルですが(失礼)、動くとすごい魅力的なんだな、これが。主役のライオネル・フロスト卿はタイトル通り英国紳士なので、ひとつひとつの所作は優雅でありながら、冒険家らしい大胆なアクションを披露してくれるし、茶色いもじゃもじゃは野性味あふれる大振りな動作と繊細な表情の演技が見もの。表情については3Dプリンタの普及などの恩恵を大いに受けたみたいですね。

あとそのほかの人間たちも大変キャラが立ってて、デザインと演技と演出のセンスがすごいな??ってなるんですが(特にライティング)、とりわけ印象に残るのは、冒険を彩る様々な動物たちです。海鳥や象の表情が絶妙にデフォルメされてて変だけどカワイイ~!!「コラライン」の黒猫や、ボックストロールたちみたいな、愛嬌があってちょっと表情の読めない、不思議な顔。今思えば、「KUBO」はかなり写実寄りだったんですね。

小物類はまあ言わずもがなですね。小さい旅行鞄、食器、地図、ツイードのジャケットの愛おしさよ。それ触らせて!!できればちょうだい!!てなるね。ツイードの生地に落ちる繊細な影なんかに、実写の威力を感じますね。

あとですね、食べものが旨そうなんですよ。「KUBO」で出てきた鱒(たぶん)のお造りには日本中が嫉妬しましたが、「ミッシング・リンク」で出てきた食べものは、美味しくなさそうなのに美味しそうというアクロバティックな進化を遂げていました。そうです、あの後半の食事シーンです。得体のしれない謎のスープも、メンバー内の一人だけバリバリ食べている謎の焼き菓子(?)も、造形がリアルであるがゆえに"ヤバい食べもの"オーラがすごいんですが、食べる動作の豊饒な演出のおかげで、もしかしてめちゃくちゃ美味しいのでは...??みたいな気持ちになる。すごい。もちろんオープニングの、寒い野外で飲む熱い紅茶は最高だよね!というやつも正攻法に素晴らしいです。はい。

・超絶技巧の実写化その2・背景セット

実写だけあって、上下移動を伴うアクション(登ったり落ちたり)のリアリティ、というか重力の実在感(重力の実在感??)が素晴らしい。もちろん丁寧な演出のたまものではありますが。それでそのダイナミックな人形の動きとそれを捉えるカメラワークを実現するための巨大セットですよ。中盤の揺れる船のなかでのわくわくするアクションは、実際に回転する船内セットを作ってその中で人形を動かしたらしい!!最高だ!!!森の中を象に乗って進むシーンは、早くからメイキングが公開されて話題になっていました。20秒のシーンに3か月かけたっていうアレ。どうやって撮ってるのかは分からないけど素晴らしいシーンであることは分かる。希望と友愛が先行きを優しく照らす、輝くばかりに美しいシーンでした。メイキングだけ見せられて本編がお預けになっていたときの気持ちを10文字以内で述べよ。「早く本編を見せろ!!」

違う違う、本題はですね、遠景のワイドショットがこれまで以上に多用されていることに衝撃を受けた話なんですよ。ストップ・モーション・アニメで遠景を撮ろうとすると、小さい人形と巨大セットが必要になるわけですが、近景と遠景を自在に行き来しようと思うと、色々な大きさの人形と背景セットがそれぞれ必要になりますね。それを全て製作し、シーンごとに大きさの異なるセットを使い分け...正気か?!?!(褒めてる)

本作のように世界中を旅する話はストップ・モーション・アニメにとっては非常に挑戦的な題材のはずなんですが(セットがめちゃくちゃたくさん必要だから)、見事な出来栄えにただただ感嘆するばかりです。

LAIKAでは、物語が先にあって、それをどうやったら実現できるかをみんなで考える、という話をどこかで読みましたが、それにしても一作毎にすごい進化を遂げている。

ラスト近くで氷と雪の中でのすごいアクションシーンがあるんですが、氷の質感もさることながら、変幻自在のカメラワークに圧倒されます。それこそ3Dアニメじゃないとできないような。でもそれを実写でやってしまうという、圧巻のクライマックスでした。

・世界がぐるりと反転する感覚、悪夢と現実の境目、行きて帰りし物語

あまりの超絶技巧なのでストップモーションアニメの話を先に書いてしまったけど、そもそもLAIKAの作品はどれも絵力(えぢから)と物語力(ものがたりりょく)がめちゃくちゃ強くて、初見だとストップ・モーション・アニメとか演出の技術にまったく思いが至らないんですよね。登場人物たちの冒険に手に汗握っていてそれどころじゃないので。ということで「ミッシング・リンク」もとりあえず2回見た。いや~~すばらしいですね~~~~~!!!!2回目でも存分にドキドキしながら観たけどね!!

それでですね、LAIKAの作品群をまとめて観ると、見出しで書いた、見えてる世界がぐるっと反転するような、物語に没頭している観客ごと揺さぶるような展開が必ずあることが分かります。パーソナルな悪夢的世界観がキュートな「コラライン」や「ボックストロール」ではそれがすごく分かりやすく描かれていたけど、「KUBO」や本作でも基本は同じっぽい。眼前に見ているのは誰かの悪夢なのか、自分が本当に求めるものは何なのか、真実はどこにあるのか、それらを一気にひっくり返すポイントオブノーリターンがあって、そこに至るストーリー展開や演出がマジで面白い。絶対、おお!てなる。

この感覚は、本質的には、ストップ・モーション・アニメのメイキングを観たときの何とも言えない感情に近い気がしています。ただの楽屋落ちと違うのは、そこに込められた膨大な労力と愛ですよ。ひとコマひとコマに費やされた技術と意思を思うと毎秒ごとに褒めたたえて抱きしめたくなるんですが(何を)、それが登場人物たちの一筋縄ではいかない冒険譚と重なってもう涙腺が決壊せざるを得ない。

あと本作は、主人公たちの"自分探し”の鉄板であるところの行きて帰りし物語なんですが、前作「KUBO」で家族をテーマにしていて、家族で始まって家族で終わる物語になっていたのが、そこからさらに踏み込んで、どこに帰るのか、傍に誰がいるのか、ということをアップデートしていたのが、おじさんを主役に据えた意義も感じられてとても良かったです。

・ところで致命的な誤訳が。

あったようですね、字幕に。1回目観たときにあれ??と思ったんですが、有識者のみなさまによるとやはり誤訳らしい。配信&ディスク化のときには直るのかしら...。

 

さてすでに三千字を超え、まだまだ書けそうな気がするけどもうよかろう。推してるのは充分伝わったよね、パトラッシュ。うんうん、長い話を聞いてくれてありがとうね。なんせ友だちがいないからさ。

...。

では!

映画「トランスフォーマー」シリーズ完走したので褒めて(?)

※まずは「トランスフォーマー」5作の話をするよ!

いや~~~~

いや~~~~~~~

マイケル・ベイ監督の体力は底無しか?????

あ、「トランスフォーマー」シリーズ大好きな方は回れ右でお願いします...。いきなり読者を選ぶなよとは思うけど自分用の覚え書きなのでね…仕方ないね…。

 

 いや好きなところも結構あるんですよ、「ロストエイジ」とかさ、恐竜トランスフォームと香港アクション楽しかったよね~~そんなん両方入れたらそりゃあ165分かかるよね…バカじゃないの…。

ロボットに関しては、「ダークサイド・ムーン」のでっかい蛇みたいなやつと「ロストエイジ」の恐竜チームが気に入りました。動物っぽい動き+メカニックって割と工夫のしどころがあるというか、動きとか変身のシーケンスとかが凝ってて良かったですね。まあ意味はまったく分かりませんでしたが。ていうかあの蛇のためだけにチェルノブイリを浪費するなよ!!!それこそ陰謀論つながりで(?)バミューダトライアングルとかで良かったじゃん…。

 音楽は「ロストエイジ」が割と良かったです。「ロストエイジ」は中国ロケにお金と手間がかかってそうなところがまた良いですね、と思ったら米中合作なんですねなるほど。中国側の開発責任者の女性がメイクのせいか竹内結子にちょっと似てて、舞台が香港なので「コンフィデンスマンJP ロマンス編」を思い出してちょっとしんみりしました。

こうして書いてみると「ロストエイジ」わりと気に入ってますね。まあジャック・レイナーが都合よく出てきてラッキー感あったからね。やったね。上映時間があと40分短かったらたぶんもっと好きだったよ!!!!

ちなみにシリーズ各作品の上映時間は下記の通り。

トランスフォーマー」143分
トランスフォーマー/リベンジ」153分
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」154分
トランスフォーマー/ロストエイジ」165分
トランスフォーマー/最後の騎士王」149分

 …な・が・い!!!中途半端な人間ドラマやめたらあと25分は短くできる!!!

 

「最後の騎士王」は初見ではオプティマスの役柄が分かりにくいという感想があったらしいんですが、大丈夫、シリーズぜんぶ続けて観てても混乱したから(大丈夫ではない)。ロボットだと演技がつけにくいのかな?とか思ったけどよく考えたらフルCGなんだからカメラワークとかライティングとか色調とかでもっと頑張れるな???

あと「ロストエイジ」も「最後の騎士王」も全然活かせてない組織とか設定がいっぱいあったよね???「墓場の風(Cemetery Wind)」とか名前もビジュアルもめちゃかっこいいのに、何が何だか分からないうちに解散していた(そんなことある???)。

それから毎回いい感じのタイミングで出てくる"古い"ロボットたち何なの。え、前作でどこにいた??ってなってこっちが忘れてるかと思ってウィキペディアと首っ引きよ。いかにも古株みたいな感じで出てきてすぐ退場するのやめて欲しいわまったくもう。まあ「最後の騎士王」の釈放ロボットたち、ちゃんと紹介されたのに瞬殺されたのは笑ったけどさ。覚えようとした努力を返せよ!!てなりましたね。

何のために戦ってるのかとか誰と誰が戦ってるのかとか、何もわからんまま最終決戦になだれ込むのが本シリーズのお約束なんですかね(そんな馬鹿な)。

ヒロインの白い服は絶対に汚れないしな。まあ「ジュラシック・ワールド」のハイヒールみたいなもんか…いやあれは許せたけどな...割とそういうの気にならない適当な観客だと自負しているんですが、あまりに真っ白なままなので自分の中の基準を揺るがす事態に発展。ついでに思ったのは、キスシーン入れないと終われないのかスピルバーグ!?!?(「レディ・プレイヤー1」でもやってたね)ていう。なんのお約束(?)なんだ...。

 

さて、あまりにぼんやり観ていたので三作目でようやく気付いたのですが、オプティマス・プライムはアメリカの「良き自画像」なんですね。アベンジャーズが途中でボロボロになって分裂したのと本シリーズのオプティマス・プライムの歩みは呼応してるけどこっちのほうがより露骨。「アイアンマン」の一作目から考えるとほぼ同じ時代を映しているシリーズ同士なんだなということに、通して観て気付きました。なるほど。

「自由はすべての生き物が持つ権利(Freedom is the right of all sentient beings.)」っていう台詞、よく考えたらアメリカの建国の理念そのものだったね。一作目から言ってたね。

ただトニー・スタークと違って、オプティマス・プライムは人間に対しては圧倒的に強者なんですよね。なんか毎回ピンチっぽくなってるけど気付いたら復活してラスボスを一刀両断しているという。「トランスフォーマー」シリーズがちょっと行き詰まったの、そのあたりにも原因がありそうな気がする。いや明らかに他にもあるけども。

それで建国の物語に戻ってみたのが「バンブルビー」だったのかな、と思いました。

 

※ようやく「バンブルビー」にたどりついたよ!

いやー、トラヴィス・ナイト監督さすがだね!!貴種流離譚で、人外と少女の交流と共闘で、ちょっとレトロなデザインのロボットたちの独創的なガジェット感とか、無機物の動きの繊細な演出とか、もう独断場ですな!!!ひゅ~!(良すぎてあまり言うことがない)

ていうかいきなり名作ジュブナイルの趣きになりましたね。「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」も良かったし、安定感のある作風で良いですね。

あとロボットのデザインも(登場数を絞ってあるとはいえ)シリーズ全体の世界観を壊さない程度には踏襲しつつ、キャラクターが分かりやすくなっていて見ていて混乱しない。しかも、顔のパーツが多い悪役より、シンプルなパーツ構成のバンブルビーのほうが表情豊かに見えるの、デザインと演出と脚本の作りこみの成果って感じがして素晴らしいですね。

 「トランスフォーマー」に苦手意識がある人も、「バンブルビー」だけは観ておいて損はないのではと思います(過去の自分へ)。まあ別物です。

 

ということで「トランスフォーマー」シリーズ完走記念日記でした!長いよ!!いや「ロストエイジ」よりはマシだけど!!!

 

追伸:毎回「日本」に目配せしてくれるの、プロデューサーだか監督だか知らんがやさしいね…義理堅いね…ありがとうね…。 

では!!!!

映画「ペット」で不気味の谷を幻視する

いや面白かったんですよ、「ペット」(製作:Illumination Entertainment)。ポスターとかだけ見ると、動物がめちゃくちゃデフォルメされてるからどうかなーと思ったのと、"お留守番中の動物たちは何してる?"みたいなキャッチコピーに対しては「ベイブ/都会へ行く」ていう傑作があるじゃないですか。だからあまり食指が動かず劇場公開時はスルーしたまま観ずにいたんですが、ちゃんと面白かったです。さすがに大ヒットしただけのことはある。

特に動物の動きが良いですね。デフォルメの方向性が日本のアニメとは全然ちがうけど、動きがそれぞれの動物やキャラクターの特徴を良く表現していて、見ててずーっと楽しい。アニメーションに集中しすぎて途中でストーリーが分からんくなったけど、まあそんな複雑な話ではないので大丈夫。後半のアクション展開は大人も楽しめるスピード感でとっても良かったです。

はい。

それでですね、本題に入るわけですが。タイトルでもう言っちゃってますが。

その前にひとつ謝罪をば。

この文章中では、「不気味の谷」という言葉を正確&厳密な定義からは外れた意味で使っておりますが、他にこの違和感を表現する(かつ人口に膾炙した)うまい言葉を知らないのでご容赦ください。

謝罪終わり。

 

これはまあ3Dアニメの宿命みたいなもので仕方ないけど、映画のオープニングからずっと、この世界における人間とは...みたいなことが頭の片隅にあったわけです。動物たちのデザインや動きが魅力的な一方で人間のデフォルメのさじ加減は難しくて、ストーリーの都合から完全な背景にするわけにもいかず、なるほど本作の落としどころはこのへん(?)なのか、というようなことを考えざるを得ないというか。

で後半になってやっとその落としどころに馴染んだところに、メタ演出で「SING/シング」のポスターが出てきたのがまずかった。いやまずくはない。メタ演出としては面白かった。そもそも「SING/シング」良い映画だし(そこ?)。ですが「SING/シング」って、動物を擬人化したアニメじゃないですか。「ズートピア」とかと同じで、多種多様な動物たちがほどよく擬人化されて人間の社会に近い形の社会生活を営んでいて、共存の工夫が楽しい演出になっていて、という。

さてそれで、「ペット」と「SING/シング」は当然ながら絵柄が似通っていますね?同じ製作会社だからね?なので画面内に「SING/シング」のポスターが出てきたとたん、「SING/シング」の映像が脳内にフラッシュバックするわけです。個人的に「SING/シング」大好きなんですよね。初見時、開始5分でガチ泣きしたからね(マジです)。そうするとですね、同じ絵柄で片や文明開化して洋服を着てほとんど人間と同じように振る舞う動物たち、片や言葉は喋っているけど挙動は完全に動物、しかし思考や知識は人間ぽい犬猫たち、ということで完全に頭がクラッシュするんですよ!!「ペット」における人間と「SING/シング」における動物が同じ挙動で、じゃあ「ペット」における動物は???いや人間とは???てなって大混乱ですよ。

「SING/シング」でかわいい動物たちが、そのかわいらしい挙動のまま擬人化されている一方で、「ペット」の人間に対しては、この肌色のつるつるした二足歩行の生き物の動きはなに!??なんの動物???みたいな感想を一瞬、抱いてしまうわけです。本当は人間のキャラクターにも親しみを感じるように作られているはずなんですが、その魔法が解けてしまう。

ちなみにテレビアニメ「きかんしゃトーマス」を見るときにも同じような不気味の谷が見える。よね??この世界における人間とは???とか思ってると謎の活躍を見せたりするし。完全な背景かと思いきや意思を持って動きだしたりして、その割にはトーマスより表情に乏しかったり…。というか、CGだとどんなに演技をつけても実際の人間の表現力には敵わなくて、動物や機関車だとそれが気にならないのに人間のキャラクターだとその落差がはっきり出てしまうんですね。そのへん上手いなと思うのは(いま思いついただけですが)同じくテレビアニメの「スポンジ・ボブ」ですかね。人間パートはすべて実写というのは思い切ってるけど分かりやすいしメタ的な混乱が少ない。

ただ2Dアニメだとそもそもこの"不気味の谷"的な混乱はほとんど覚えが無いので、やはり3Dアニメ特有の難しさなのだろうなと思う。2Dよりも顔のパーツや輪郭のバリエーションをつけにくいから演技の幅が狭い(広げようと思うと現実の人間と同じように各パーツの繊細なモデリングが要る)のかな、とか。

 

まあでも今回は、「SING/シング」のほうを先に観てしまっていたがゆえの事故だよな、とは思います。製作側がまったく意図していないクラッシュを引き起こしてしまって申し訳ない!

最初にも書いたように、「ペット」自体は良い作品でしたよ!!!続編を見るかどうかは未知数だけどな!

では!!!

映画「COP CAR/コップ・カー」は西部劇なのか(突然どうした)

「COP CAR/コップ・カー」、面白かったですねー!ミニマムな構成に意表を突く展開、意外性と納得感を両立させたオチ、と低予算エンタメのお手本のような一本でした。ジャンルは"スリラー"になってますがどっちかというと「スタンド・バイ・ミー」みたいなジュブナイルものっぽいおもむきなのがしみじみ余韻があっていいんですよね。まあ開始数秒でFワード(?)連呼しますけどね。男子だからね。

 でそれとは別に、今年に入ってから1970年代の西部劇を立て続けに見たんですよ。見たのが「真昼の死闘」「レッド・サン」なのでそれは西部劇なのか?という疑問が湧かなくもないですが自分がこれまで見た映画のなかでは最も西部劇(?)な二本。なんせ記憶にある限り初めて観た西部劇なので、おおこれが西部劇かなるほど、とか思いながら楽しく観ていたのですが、なんか既視感あるな?と思っていろいろ考えた結果、去年みた「COP CAR/コップ・カー」のことを思い出したのでした!(説明が長いよ)

いや既視感の原因はほかにもあるだろ、という良識の声が聞こえるような気もしますが「COP CAR/コップ・カー」、わりと気に入ったので「COP CAR/コップ・カー」の話をします!!

さあ!

こっから先はネタバレ注意だよ自衛してね!!!!!(謎テンション)

 

前述のとおり、お、「COP CAR/コップ・カー」ほぼ西部劇じゃない??と思って検索してみたんだけど特に誰もそんなことは言ってなかった。あれ?いやいや、ジョン・ワッツ監督が影響を受けた映画に西部劇(「続・夕陽のガンマン」)入ってるじゃん!やったね!まあ映画を作る人なら西部劇くらい見てるか…(↓インタビュー参照。ちょっと古いけど良い記事)。

Jon Watts On the Life-Changing ‘Cop Car’ and Why ‘Spider-Man’ is Just Another Indie | IndieWire

 でもやっぱあれ西部劇だと思うんですよね、ということで要素ごとに検討してみます。西部劇の初心者にしては強気ですね。

…。

まじで初心者なので先に謝りますごめんなさい!西部劇をちゃんと知ってる方はこっから先は読まないほうがいいかもしれません!!!!すみません!!!!しかし書く

 

・乾いた風景、人間はいないし牛もたまにしかいない

「COP CAR/コップ・カー」の舞台は監督の故郷・コロラド州東部を思わせる乾燥地帯。まばらな草地、赤っぽい砂ぼこり、ときどき現れる有刺鉄線、画面の端を転がっていくダンブルウィード、そして風力ポンプ!!西部劇の舞台そのものですね!水平線をとらえるロングショットがまたそれっぽい(画面の中を左右に移動するのは馬ではなく車ですが)。ちなみに大陸横断鉄道の代わりに風景を区切るのは、どこまでもまっすぐな舗装道路です。

・クールでドライな主役or準主役、(結果的に)気の合う道連れ

一人で旅をしても物語が始まらないですね、やっぱ二人じゃないと。それが微妙に合わないちぐはぐなコンビだと最高ですよね(古今東西普遍の真理)。アクセルとブレーキ、塩と砂糖、割れ鍋に綴じ蓋(?)。でバディものの傑作は数あれど、西部劇の場合はクールで凄腕の主役(or相棒)が必須です(たぶん)。もちろん旅の最後には信頼で結ばれた最高のバディになるわけですよ!!本作では主役の少年二人が家出旅の道連れとなっておりまして、クール系ヤンチャ少年とふわふわ系ビビリ少年の組み合わせなんですが、映画の最初と最後で微妙に変化する関係性に胸が熱くなる展開があって良かったですね~~~。ジュブナイルの王道展開でもあるんだけど、"スリラー"に分類されるようなこの映画の中でそれをやってるところがこの作品の美点ですよね~~!(良い)

・途中で小さな町を通る

いやこれ、途中で砂漠の中の小さい町が出てくるんですがこれはあれよね、西部劇で途中で食事でも採ろうと立ち寄った町で住民に不審がられて追い出されたり、異様な歓待を受けて罠に気づいたりするやつよね。で馬とか食糧を盗んで逃げたりするあれ。さすがに盗むのは馬じゃなかったね!

・追うか追われるかの珍道中

たまたま観た「真昼の死闘」「レッド・サン」が、追われるか追うかの違いはあれど何らかの意図をもって荒野を旅する話だったのでこの項目を立てました!「COP CAR/コップ・カー」は前半と後半で移動を続ける動機が変わるんだけど、それもロードムービーの王道っぽさあっていいですよね!西部劇は移動を宿命づけられた流れ者を題材とするので(ほんとか?)、必ず旅が主題のひとつになるのと似てるなと思いました。ちょっとこじつけかな???ちょっとか???

・第三勢力の襲撃からの三つ巴の全面対決

上で書いた通りなんか宿命のライバルとか恩人の仇とか、お尋ね者の大悪党とかを追いかけたり追われたりして直接対決になだれ込むのですが、それより先にまず第三勢力が現れてどっちもまあまあダメージをくらう、っていうやつ。伝統的な(?)西部劇では先住民族が極端に戯画化されてこの第三勢力役をやっている場合が多く、注釈付きになりがちなやつです。もちろん「COP CAR/コップ・カー」ではなかなか捻りのきいた第三勢力が出現して三つ巴の全面対決に発展します!これも「レッド・サン」を見たときに既視感の原因になった気がしている。

・画面に映ってたやつほとんど死ぬ

最後の全面抗争で画面に映ってた奴、非戦闘員のお色気担当女性以外だいたい死ぬよね、知らんけど(知らんのかい)。「COP CAR/コップ・カー」も三つの勢力ぜんぶ壊滅するけど子供はまあ無事っちゃあ無事なので安心してほしい。なんせジュブナイルだから。少年たちがちょっとだけ大人の階段をのぼる話だから。もしかして画面内死亡率が高いから"スリラー"分類なのか???(根拠なし)ラストシーンもかっこよかったねー。は~~~~良い映画ですよ「COP CAR/コップ・カー」。この実績で監督を「スパイダーマン」に抜擢したプロデューサーもすごいと思うけどね!

 ここまで書いてて思ったんだけど、上の要素のどれかでも欠けてたら別に西部劇を観て「COP CAR/コップ・カー」を思い出すことは無かったんじゃないかと。全部きれいにそろってたから良い意味での既視感があったのかなと思いました。

 

うーん、まとまりのない文章になってしまった、西部劇を語るのはまだ早かった(そりゃそうだ)。NHKBSプレミアムでしょっちゅう西部劇やってるの、一時代を築いたジャンルなのねーと実感しますね。まあもうちょっと映画鑑賞リテラシーが身についたら西部劇にもちゃんと手を出してみようと思います!いつになるやら!

では!!!!