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映画「夢売るふたり」にひとつだけ不満がある

いいですか、ここから始まるのは「夢売るふたり」について不満を述べる文章です。少しでも不快に思う可能性がある方が読むのは全くおすすめしません。あと、少し前の記事でも触れたとおり、この文章を執筆しているのは映画鑑賞に関して完全に初心者です。「おまえ西川美和監督のこと全然わかってねーな」とか言われても、その通りですとしかお返事できません。その超初心者が、不満に思ったところを述べるだけの文章です。

いいですか。

警告しましたよ。

 

この映画、わりと評価高いんでしょうか。主演の二人は本当にすばらしかったし、阿部サダヲのチャーミングさが最大限発揮されていて当て書きかな?と思いました。

それはいいんですが、劇中での女性たちの描かれ方がちょっと悪意がありすぎる。例えば割烹料理屋のカウンターで阿部サダヲ演じる料理人にほれ込んで貢いで逃げられる女性たち。なんかこういかにもパッとしない容姿でプライドが高くて、世間知らずなのにそれを認める素直さもない、みたいな演出やめろや、と思っちゃった。いや、松たか子が演じる奥さんがそう思うのはいいんですよ、そういう台詞や描写もあるし、そう思ってないと騙しきれないでしょう。だけど観客に、「こういう奴らが結婚詐欺に合うんだなー、金持ちっぽいからまあいいでしょ」みたいに思わせるのはダメでしょう。阿部サダヲの魅力は、どんな女性でも心の底から大切にできて、なんの躊躇いもなく目の前にいる女性を一番に愛せることだとおもうのですが、その魅力も女性たちを露悪的に、しかも十把一絡げに描写した時点で半減するでしょ。

前半で騙された女性たちの扱いがそんな感じだったから、阿部サダヲのキャラクターを途中まで勘違いしてて無駄に混乱しちゃったじゃん。

そういう脚本?演出?上の要請がなくても、ああいう演出は端的にダサい。笑えるシーンと思って入れたのなら完全に失敗だし、それ以外の意図があるならそれは伝わってないのでその点でも失敗。8年前とはいえ、あれで素直に笑うような観客を相手にしてるのか?してないよね。

思い返せば鈴木砂羽が演じていた女性も、電車のホームで酔いつぶれるところとそれ以外の言動がちぐはぐで、あれ?と思っていたらそのまま終わっちゃったし(鈴木砂羽の迫力でなんとなく誤魔化された気がする)、田中麗奈の人もよく分からんかった。あと数秒ずつでも、心理描写や背景描写があったらWikipediaにある「女性の生き方をテーマに描いている」にも首肯できたかもしれないけど、あの演出・脚本では無理。「生き方」とか言うならもうちょっと丁寧に扱いなさいよ、ほんとに。

一般的に?クリエイターは同性の扱いに対して脇が甘くなる傾向にあるというけれど、これもそれなのか。他の作品を観ていないので分からないけど。でもそういうのを丁寧に、シビアに乗り越えた若い人たちが活躍しつつあるじゃないですか、たぶん。だから西川監督にはこんな雑な手つきで「女性の生き方」を扱うのはぜひ止めてほしいし、やめられないならそれにきちんと向き合ってほしい。知らんけど。

西川監督の他の作品を観る気力が失せるくらいがっかりしたので、ここに思考の整理がわりに書き留めました。お付き合いいただきありがとうございました!