窓を開ける

今のところ映画の話をしています

映画「ウルフウォーカー」で頭が痛くなるほど泣いた

はあ~~~~良かったですねえ~~~~圧倒的なビジュアルに最&高のガールミーツガールでした~~~~はあ~~~~

とか書いて終わってもいいんですが(少なくとも鑑賞直後はそんな気分だったんですが)、少し日が経ってやや落ち着いて言語化できそうなので備忘録として残します。でも一回しか見れてないので記憶が曖昧で雰囲気だけで語ります。

※致命的なネタバレは無いと思いますが、終盤の展開についての内容を含みますので!

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ネタバレ除けにおススメの副読本を置いておきます。

books.bunshun.jp

狼が自然の中で果たす役割について理解が深まります

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www.hakusuisha.co.jp

狼と人間の関わりの変遷を概観できます。フルカラーの図版が多く収録されており、さらっと読めるわりに情報量が多い。

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ここから本題。

 絵の美しさとかは、識者の皆さまがいろいろなところで語ってくださっているのであまり書くことがない。本当に絵画が動いてて目が幸福であった。背景の隅のほうで動いてる線画の羊でさえ、可愛らしく愛おしいのである。すべてのシーンをコマ送りで見たいと思わせる美しさだった。ポストカードセットふたつ買った。

さてそれで、そういう美しい絵で語られる物語の中で、特に印象に残った場面について。

「Running With The Wolves」

 AURORAの劇中歌が流れる、序盤で最も盛り上がるシーン。二人の女の子が仲間を得て、すべての抑圧を振り払って、鮮やかに色づく自然の中を疾走する最高に美しい場面で、抑圧と解放の落差がほんとうにキツくて泣いた。こんな解放は、ロビンが人間の社会に生きる限り決して得られないものだ。17世紀のアイルランドだけでなく、おそらく現在でも。だからこそこの瞬間のかけがえのなさが光るのだけれど、それにしても辛い。制作陣がこのシーンに込めた祈りの深さは、そのまま現実との乖離を表しているのだと感じて、かつて子供だった自分と今の子供たちのことを想って泣いてしまう。

そしてAURORAの透明感と浮遊感、力強さが同居した歌声が、空へと昇る祈りの声そのもののように聞こえるのだ。どこまでも遠くへ、自らの爪と牙を研いで、月の明るい夜に走る。この歌が既存曲だったなんて信じらんない、最先端のクリエイターたちの共振に震えるわ。

 

"I'm afraid"

自分はもう大人になってしまったので、最初から最後まであのお父さんの心情を思って心臓が締め付けられそうだった。ロビンを安全なところで守ってやりたいという大人として当然の思いがロビン自身の願いとすれ違う描写、ロビンがお父さんを想う気持ちもまたうまく受け取れずに悩みを深める描写、ひとつひとつが丁寧で、切ない。ロビンは聡明で強い女の子だから抑圧的な庇護は必要ないのに、それを変えられない、お父さんもまた抑圧的な体制の下で苦しんでいるのに。

そのお父さんが、初めてロビンに対して率直な心情を吐露するシーンでもうダメだった。自分の弱さを認めてそれを言葉にして伝えるのは勇気の要ることで、相手が自分の子供なら尚更だろう。けれど、この勇敢な狩人はその勇気を持ち合わせていたし、そういった意味ではロビンと強い信頼関係を築いていることが伝わって、いたわりと愛の深さに号泣必至なのだった。

 

あと子供と動物がぐいぐい動くの楽しかったですね。動きの緩急が予測不能な感じがよく表現されていて、彼らがじゃれついているだけの場面をずっと見ていたいなと思いました。

地方在住なので映画館で見れないかもとどきどきしていたのですが、無事に近所で劇場公開されてよかったです、、、ありがとうございます、、、(土下座)

では!!!