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映画「COP CAR/コップ・カー」は西部劇なのか(突然どうした)

「COP CAR/コップ・カー」、面白かったですねー!ミニマムな構成に意表を突く展開、意外性と納得感を両立させたオチ、と低予算エンタメのお手本のような一本でした。ジャンルは"スリラー"になってますがどっちかというと「スタンド・バイ・ミー」みたいなジュブナイルものっぽいおもむきなのがしみじみ余韻があっていいんですよね。まあ開始数秒でFワード(?)連呼しますけどね。男子だからね。

 でそれとは別に、今年に入ってから1970年代の西部劇を立て続けに見たんですよ。見たのが「真昼の死闘」「レッド・サン」なのでそれは西部劇なのか?という疑問が湧かなくもないですが自分がこれまで見た映画のなかでは最も西部劇(?)な二本。なんせ記憶にある限り初めて観た西部劇なので、おおこれが西部劇かなるほど、とか思いながら楽しく観ていたのですが、なんか既視感あるな?と思っていろいろ考えた結果、去年みた「COP CAR/コップ・カー」のことを思い出したのでした!(説明が長いよ)

いや既視感の原因はほかにもあるだろ、という良識の声が聞こえるような気もしますが「COP CAR/コップ・カー」、わりと気に入ったので「COP CAR/コップ・カー」の話をします!!

さあ!

こっから先はネタバレ注意だよ自衛してね!!!!!(謎テンション)

 

前述のとおり、お、「COP CAR/コップ・カー」ほぼ西部劇じゃない??と思って検索してみたんだけど特に誰もそんなことは言ってなかった。あれ?いやいや、ジョン・ワッツ監督が影響を受けた映画に西部劇(「続・夕陽のガンマン」)入ってるじゃん!やったね!まあ映画を作る人なら西部劇くらい見てるか…(↓インタビュー参照。ちょっと古いけど良い記事)。

Jon Watts On the Life-Changing ‘Cop Car’ and Why ‘Spider-Man’ is Just Another Indie | IndieWire

 でもやっぱあれ西部劇だと思うんですよね、ということで要素ごとに検討してみます。西部劇の初心者にしては強気ですね。

…。

まじで初心者なので先に謝りますごめんなさい!西部劇をちゃんと知ってる方はこっから先は読まないほうがいいかもしれません!!!!すみません!!!!しかし書く

 

・乾いた風景、人間はいないし牛もたまにしかいない

「COP CAR/コップ・カー」の舞台は監督の故郷・コロラド州東部を思わせる乾燥地帯。まばらな草地、赤っぽい砂ぼこり、ときどき現れる有刺鉄線、画面の端を転がっていくダンブルウィード、そして風力ポンプ!!西部劇の舞台そのものですね!水平線をとらえるロングショットがまたそれっぽい(画面の中を左右に移動するのは馬ではなく車ですが)。ちなみに大陸横断鉄道の代わりに風景を区切るのは、どこまでもまっすぐな舗装道路です。

・クールでドライな主役or準主役、(結果的に)気の合う道連れ

一人で旅をしても物語が始まらないですね、やっぱ二人じゃないと。それが微妙に合わないちぐはぐなコンビだと最高ですよね(古今東西普遍の真理)。アクセルとブレーキ、塩と砂糖、割れ鍋に綴じ蓋(?)。でバディものの傑作は数あれど、西部劇の場合はクールで凄腕の主役(or相棒)が必須です(たぶん)。もちろん旅の最後には信頼で結ばれた最高のバディになるわけですよ!!本作では主役の少年二人が家出旅の道連れとなっておりまして、クール系ヤンチャ少年とふわふわ系ビビリ少年の組み合わせなんですが、映画の最初と最後で微妙に変化する関係性に胸が熱くなる展開があって良かったですね~~~。ジュブナイルの王道展開でもあるんだけど、"スリラー"に分類されるようなこの映画の中でそれをやってるところがこの作品の美点ですよね~~!(良い)

・途中で小さな町を通る

いやこれ、途中で砂漠の中の小さい町が出てくるんですがこれはあれよね、西部劇で途中で食事でも採ろうと立ち寄った町で住民に不審がられて追い出されたり、異様な歓待を受けて罠に気づいたりするやつよね。で馬とか食糧を盗んで逃げたりするあれ。さすがに盗むのは馬じゃなかったね!

・追うか追われるかの珍道中

たまたま観た「真昼の死闘」「レッド・サン」が、追われるか追うかの違いはあれど何らかの意図をもって荒野を旅する話だったのでこの項目を立てました!「COP CAR/コップ・カー」は前半と後半で移動を続ける動機が変わるんだけど、それもロードムービーの王道っぽさあっていいですよね!西部劇は移動を宿命づけられた流れ者を題材とするので(ほんとか?)、必ず旅が主題のひとつになるのと似てるなと思いました。ちょっとこじつけかな???ちょっとか???

・第三勢力の襲撃からの三つ巴の全面対決

上で書いた通りなんか宿命のライバルとか恩人の仇とか、お尋ね者の大悪党とかを追いかけたり追われたりして直接対決になだれ込むのですが、それより先にまず第三勢力が現れてどっちもまあまあダメージをくらう、っていうやつ。伝統的な(?)西部劇では先住民族が極端に戯画化されてこの第三勢力役をやっている場合が多く、注釈付きになりがちなやつです。もちろん「COP CAR/コップ・カー」ではなかなか捻りのきいた第三勢力が出現して三つ巴の全面対決に発展します!これも「レッド・サン」を見たときに既視感の原因になった気がしている。

・画面に映ってたやつほとんど死ぬ

最後の全面抗争で画面に映ってた奴、非戦闘員のお色気担当女性以外だいたい死ぬよね、知らんけど(知らんのかい)。「COP CAR/コップ・カー」も三つの勢力ぜんぶ壊滅するけど子供はまあ無事っちゃあ無事なので安心してほしい。なんせジュブナイルだから。少年たちがちょっとだけ大人の階段をのぼる話だから。もしかして画面内死亡率が高いから"スリラー"分類なのか???(根拠なし)ラストシーンもかっこよかったねー。は~~~~良い映画ですよ「COP CAR/コップ・カー」。この実績で監督を「スパイダーマン」に抜擢したプロデューサーもすごいと思うけどね!

 ここまで書いてて思ったんだけど、上の要素のどれかでも欠けてたら別に西部劇を観て「COP CAR/コップ・カー」を思い出すことは無かったんじゃないかと。全部きれいにそろってたから良い意味での既視感があったのかなと思いました。

 

うーん、まとまりのない文章になってしまった、西部劇を語るのはまだ早かった(そりゃそうだ)。NHKBSプレミアムでしょっちゅう西部劇やってるの、一時代を築いたジャンルなのねーと実感しますね。まあもうちょっと映画鑑賞リテラシーが身についたら西部劇にもちゃんと手を出してみようと思います!いつになるやら!

では!!!!