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映画「モータルコンバット」のことが頭から離れないので長過ぎる追記

※前の記事に追記しようと思ったけどどう考えても長くなるので独立した記事にしました!

この人まだ「モータルコンバット」のこと考えてる…。

…。

暴力ウサギやら巨大怪獣やらウィドウやらに気を取られて気付いたら行ける範囲の映画館で上映が終わっていた。だから言った(※前の記事)じゃないの!!!ちなみに大阪ステーションシネマでは午前7時台に1回という驚異的な上映スケジュールになっています(※7/9~)。行けるか!!!!いやこれレイトショーが出来ない余波をまともにくらってる気がするな!だって明らかにレイトショー向けじゃん、R15+だし。仕事帰りの大人に相応しい、ノーストレス映画ですよ。昨今の潮流からすると来月くらいに配信始まるかもしれんけどさ、それはそれとしてさ~~~

映画館での上映が(ほぼ)終わったのがさみしくて、みんなの感想や考察や二次創作を読み漁っている日々なんですが、考えれば考えるほど、いい映画だったよな~と思って。まあうちの母親には勧められませんがね、人体破損描写がたぶん無理だから(ラストサムライも無理な人なので)。

嫌なところがないというストレスフリー度で言えば、この春のコメディアクション映画「ノンストップ」と双璧を成す。マジで。オープニングアクションがバチバチにかっこいいという共通点もありますね。あとちょいちょい突っ込みどころがあるところとかね。まあそれはこういう映画たちにとっては愛されポイントだからノープロブレムよ。

っていうかね、この映画、今この瞬間の現実世界を生きてる誰かを確かに救うタイプの映画なんですよ。多くの人に愛される映画がそうであるように、今の観客にきちんと向き合って、正しく観客のために作られてるのが本当に素晴らしい。本作を好きな人はみんなそれを感じてると思う。

ということで!!

もう一回くらい映画館で観たかったなーどっかリバイバルやってくれよぅという気持ちを込めて、散々書かれていることではありますが映画「モータルコンバット」の好きポイントを列挙しようと思います!褒める文章はなんぼあってもいいんですよ。私の知らないどこかで酷評されてるかもしれないので、このアジア大陸の東の端っこで、電子の大海にひとつでも絶賛コメントを残しておくのが大事なんですよ。知らんけど。

あの、このあとたぶんネタバレするんで、15歳以上で大丈夫そうな未見の人はとにかく本編を観てください。

では行きます!長いよ!!!

 

・多様で新鮮な関係性

まずはもちろん、本作のメインバトルを闘う二人の400年の執着(それが愛でなくてなんなのか)ですよね!!!予備知識が無さ過ぎてなんで二人が闘ってるのか分からないけど(パンフ買えばよかったーー!!オレはいつもそう!!)、なんかすごい感情のやり取りがあるのは分かる。ところでビ・ハンはなんで闇落ちしたんですか!!???(スピンオフあります????←大声)それ言ったらハンゾウもなんで地獄にいたんですか…現世への心残りがあり過ぎたから??互いに別の地獄を見た二人が400年の時を経て邂逅するとか、ロマンしかないね!!

みんな大好きだと思うけど、義兄弟の絆も気になるよね!!話の展開が早すぎて大事な台詞を聞き逃している気もするが、あの二人の間にはどんな歴史があるんだ。二人だけで交わす会話や目配せにはどんな意味があるんだ。設定全部教えてくれよ、監督。あ、でも兄上は続編で必ず蘇ると思うのでそっちで語ってくれてもいいです。闇落ちしてるかもしれんが。しかし本作のルディ・リンは日本人が見ても童顔でティーンエイジャーに見えるんだけど、カノウからは何歳に見えてるんだい????もしかしてガチでプリンセスに見えてた???

それからですね、調査能力が高くリアルファイトも強いソニアさんとジャックスの友情、めちゃ良かったですよね。"印"が無いから自分より弱いカノウにバカにされて戦いの場から追い出されちゃうソニアさんと、両腕を失って失意のジャックスが言葉少なに寄り添ってるシーンは胸が詰まる。ソニアさんがケア役になったら微妙だな…と思っていたんですがそんなことは全然なく(おぉ~)、逆にそのあとのカタルシスが(特にソニアさんのほう)意外性もあって思わず声出るんですが!ほんとイヤなところがない映画だな!女性のファイターが、こういうバトルアクション映画で演じてたキャラクターの役割を刷新するような新鮮さがありましたね。良いですね。

 

・愛すべきキャラクター達

すみません、上で書ききれなかったけど他のキャラも好きですよ…

コールくん、主人公のはずなのに控えめな佇まい。宿命の対決には手を出さない抑制的な態度。強いんだけど、ちょっと従来の女性キャラクターの役割も担うような不思議なバランスのキャラでした。

カノウ、とにかく決断がはやい。おかげで話がスピーディに進む進む。絵が上手い設定はなんだったのか。そしてあの魔人(?)の知り合いはなんなのか。もうちょっと詳しく???あと飛行機?に乗せてくれた女性の友だちはなに?戦友?取引先?なになに???君の交友関係どうなってんの??

※2021/07/18追記! あのパイロット役の俳優は、オーストラリアの大ヒットドラマ「ウェントワース女子刑務所」で女囚を演じていたクリス・マクアイドだそうです!なんとメタなネタを…カノウの交友関係とは… 追記終わり!

ライデン様、…微妙にポンコツなの気になるよね…子育て上手そう…。

 

・キャラクター、原作、俳優たちの文化的背景へのリスペクト

今までさ、ハリウッドのブロックバスター系作品群に出てくるトンチキ日本描写をまあ面白がっていたわけですよ。その道を拓いてきた俳優とかスタッフの努力とは別の話でさ、なんでこうなるんだよ(笑)、みたいな。でもやっぱ本作のオープニング見ると、ちゃんとしてるほうが嬉しいよなあ~~~って当たり前のことを思いました!!!比べるものでもないけど、ちょうど「るろ剣」シリーズくらいの、映画の世界観を損なわない、ファンタジー時代劇に相応しいリアリティだったよね!!!(直後に登場するライデン様で急旋回するけども!)

あとですね、それぞれのキャラクターがmother languageを喋るの良かったですね。アメリカ映画ってアメリカが舞台じゃなくても普通に英語で製作するじゃないですか。でも今回、監督のこだわり?でキャラクターのルーツにこだわったキャスティングが実現した結果、アジア圏の俳優が固有のヴォイスを取り戻してるんですよね。自分は日本語しか分からないけど、明らかに日本語ネイティブじゃない人が日本人役をやって変な日本語をしゃべってる、みたいなのも良くある(たぶん他の英語以外の言語でもあるんだろう)。それって、沈黙や、英語での発言を強いられることと同じくらい、リスペクトを欠いたやり方なのですが(せめてしゃべるなよ、っていうね)。歴史上の植民地政策を紐解くまでもなく、言語を奪うことはアイデンティティを奪うことと同義なのでね。その点、本作はね~~義兄弟の二人は共通の言葉で親密なやり取りを交わすし、ビ・ハンは宿命のライバルに言葉ではなく心が通じるんですよね~~~良い~~~。アメリカでは字幕は敬遠される、みたいな事情は多少改善してるんですかね、それとも本作の作り手が特別がんばってるんでしょうか。

ついでに書くと、東アジアルーツの俳優が全員、ちゃんと美しく撮られてるのも新鮮でしたよね。「ムーンライト」がアカデミー賞を獲ったときになんかの記事で読んだのですが、これまでの映画では撮影時のライティングとか編集とか、ぜんぶ白人基準になってるから黒人は表情の繊細な演技とかが画面が暗すぎて映らなくて評価されにくい、みたいな話があって、それは「ムーンライト」観ると納得のいく指摘なんだけど、それアジア人にもあるんじゃないか、って思ったのを「モータルコンバット」のことを考えてるときに思い出したんですよ。文章がなげーよ。トンチキ日本描写と同じように、欧米人にとって東洋人の顔ってそんな感じか~~と思っていたのですが、よく考えたら作り手の美意識の問題だしメイク、衣装、照明、編集とか駆使していくらでも多様な美しさを撮れるはずで、そういうところでもノーストレスな映画でしたよ。ちなみにより正確に書くと、これに気付いたの、とある映画の予告編を観て引っかかったところを掘り下げたのがきっかけです。本編観てないしディスになるから作品名は書かないけど。

 

ジェンダーバランスの刷新

上の方でも書いたけど、ソニアさんの立ち位置とか、カノウの友だちとか、新鮮さがありますよね。コールくんの妻と娘の描き方にも注意を払ってる感じがする。男性のほうも、ヒーローたち全員の、男らしさと両立する柔和で優しい面を、カウンターとしてではなくそれ単体で疑いなく"良きもの"として扱ってるところとか。

この映画って紛うかたなき娯楽映画じゃないですか。観客が気持ちよくなるための映画で、賞レースには全然関係ない。でちゃんと原作ファンとか、いまの観客が求めてるものを丁寧にすくい取って差し出してくれてる感じがするんですよね。作り手のポリシーの確かさ、センスの良さを感じますね。ほんとストレスフリーな、正しい意味で娯楽映画です。ありがとうありがとう。

 

・楽しそうなオフショット

これはね~前の記事でも書いたけど、マジで愛せる。ほんとありがとうインターネット。どこからともなく大量のオフショットを探し出してくる有識者のみなさまにもありがとう。あとオフショットがたくさん出回る映画、愛されてるな~~って思ってそれも嬉しい。そんでキャスト、スタッフのみんなが楽しくて安全で報われる仕事をしてほしい。だからこの文章を書いています。日本語だけど。

 

いや~ちょっと派手な映画を観よう…くらいのノリで観に行った「モータルコンバット」にここまで心奪われるとはね…原作知らなくてごめんね…(ファンサをたくさん仕込んでくれたスタッフに謝っている)。

アメリカでは大ヒットしたらしいので、続編はあると思うけど日本で観る手段があるかどうかだけが心配だな!

いい映画だと思うよ!ありがとうね!

では!!!!!