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2022年上半期に観た新作映画について振り返る

日本列島に台風の近づく中(7/5朝、長崎県に上陸…)、2022年後半が始まりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。なんか昨年の振り返りでは映画を観る本数をちょっとセーブしたいみたいなことを書いていた気がしますが、新作映画に限れば、上半期だけで去年一年間の本数を超えました…バカじゃないの。まあ去年(2021年)は1/4くらい映画館が空いてなかったし、自分が愛してやまないブロックバスター系の娯楽映画はまだ少なかったですからね…(長い言い訳)。

今年は長期休暇のときにちゃんと帰省したり、人と遊んだりといった人間活動も(去年よりは)やってるんですけど、なんだろうな………行きつけのいくつかの映画館に、チャリと定期券で行けることに気付いてしまったからかな…………(ケチくさい)。

いまはサブスクに入ってないので、配信限定のやつは追えてないです。ネトフリは2021年のアカデミー賞のあとくらいから、けっこう劇場でやってくれるんで、話題作は観れたんですけどね。あと、公開規模が小さめのやつは、近くでやってたら観る、くらいのスタンスです。今年だと、例えば「カモン カモン」はまだ観てないですね。

ということで、劇場で観た約60本の中から満足度が高かった作品を選んだのがこちら!エンタメ指向が分かりやすい!

2022年上半期ベスト!(観た順)
 ★スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
 ★パワー・オブ・ザ・ドッグ
 ★Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!
 ★SING/シングネクストステージ(字幕)
 ★ゴヤの名画と優しい泥棒
 ★白い牛のバラッド
 ★TITANE/チタン
 ★トップガン:マーヴェリック
 ★犬王
 ★ハッチングー孵化ー

次点!
 ◎皮膚を売った男
 ◎ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男
 ◎ライダーズ・オブ・ジャスティ
 ◎マリー・ミー

ホントにエンタメばっかりだな…いやどれもマジでおススメですけど………(ちょっと小声)。

制作側の志の高さと、映画としての完成度、観客へのサービス精神が高いレベルで揃ってると嬉しくなっちゃうんだよな。単純だからさ。

個別にちょっとだけコメント!

ネタバレは無いです!!!

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

2022年の劇場はじめがこれでした!公開初日のレイトショーで観たんですが、あの彼の顔がスクリーンに映った瞬間の、客席の声にならないどよめきが忘れられない。ネタバレを避けて集った同志たち…って感じでちょっと感動しました。作品自体も、これまで諸事情で(ていうかMCUの影響もあったはずだけど)打ち切りになった過去作を拾い上げて丸ごと救済してやる!という力業に圧倒されましたね。これができるの、現状だとディズニーしかおらんよな…まだディズニープラスに入る気はしないが…。

■パワー・オブ・ザ・ドッグ

これは長文感想を書いたのでひとつだけ。「有害な男らしさを描いた」と評されがちっぽいですが、個人的にはそれは違和感があるのですよ。「スズメは害鳥か益鳥か」みたいな話で、それ自体が良い悪いということではなく、時代の変化に滅ぼされていく何かを弔うような話なのではないか。主要人物たち、全員がお互いに個別具体的な「悪意」を持ってたからさ、それを一般化するのはちょっと違うのでは?と思っているわけです。原作小説も読んだのですが、巻末の解説も併せてとても良かったのでおすすめです。

■Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!

これも長文を書いた。本作でアンドリュー・ガーフィールドくんの魅力に完全にやられました。「タミー・フェイの瞳」も入れると(観れてないのよ…)2021年は大活躍でしたね!2022年は休養中かな?スクリーンの前でずっと待ってるから…(怖いよ)。

SING/シングネクストステージ

これも長文を書、い…。いつも閑散としている地元の映画館でさえ、3週目くらいでもまだ大きいスクリーンで上映してくれてて、しかもそれなりに観客が入ってたのを見て感激しました。いい映画だよね…中間管理職の心をわしづかみだよ…。

ゴヤの名画と優しい泥棒

主役を演じたジム・ブロードベントがほんっとうに素晴らしかった!その妻役のヘレン・ミレンとの会話、普通の人が、普通であるがゆえに持ちうる最良のものを、手で触れることが出来そうなほど確かな存在としてスクリーンに映していた。真善美というものが本当にあるとしたら、そこにあるだろうと思わせてくれる二人でした。いやあの、主役のおじいちゃんが”普通”かと言うと、まあ、”平均”ではないけどね…。しかし英国では裁判の顛末も含めて割と有名な事件らしく、こういう人物を輩出する英国伝統の堅牢さを感じますね。ロジャー・ミッシェル監督らしい優しいコメディですが、頑固なまでに筋を通した社会派の側面も強く押し出されていて、細部まで見ごたえがあります。もう一回見て長文感想書こうかな……。とにかくおじいちゃんと家族のキャラが最高だったんだ……。

■白い牛のバラッド

長文感想あります!難しそうだけど分からんかったらどうしよう…て思いながらこわごわ観に行って、うおぉおもしれえー!ってなった映画。脚本と演出の完成度がすごい。この映画で、無言のうちに辛辣に告発されるイラン社会の問題点を、安易に「女性の生き辛さ」みたいに言う映画関係者、信用ならねえな、って思いました。ローカルを突き詰めた結果、普遍的な課題が浮かび上がる、みたいなのは当然あるけどさあ……この映画をイランで製作した関係者の覚悟をちゃんと受け取ったらそういう言い方にはならんやろ。

■TITANE/チタン

長文感想!あり!いやー、深読みし甲斐のある作品でしたね~。男性、女性それぞれのキャラクターの役割分担がめちゃ新鮮だった。そういや、特になにかの恨みがあるわけでもない破壊衝動を抱えた女性主人公っていうのがそもそも新鮮だな。書きそびれてたのでここにメモ。

トップガン:マーヴェリック

映画館で観た全員が爆風に巻き込まれて吹っ飛ばされている印象の本作、まあその通りだよ!ていうかもうみんな観たじゃろ!?トム・クルーズのキャリアそのもの。トム・クルーズの無尽蔵の愛に包まれろ。

■犬王

これはまあ好みが分かれると思いますが、「平家物語」現代語訳の担当が古川日出男だと発表された頃から追いかけてるコンテンツ(コンテンツ?)なので仕方ないですね、はい。厳島神社で琵琶の合奏を奉納するシーンが圧巻でしたね。偶然にも大きいスクリーンで観れたので満足です。

■ハッチングー孵化ー

長文感想あります!隅々まで凝ったビジュアルの美しさ、きっちり作り込まれたストーリーの”嫌さ”、オチのきれいさ、どれも好みだったです。もうちょっと怖くなくてもいいけど…(ホラー苦手なんよね)(ホラーはいつもめっちゃ後ろの席で観る)。

 

■皮膚を売った男

チュニジア映画!都会のほうでは2021年中に公開されてたっぽいですね?ヨーロッパの難民問題に詳しくないので序盤はちょっと混乱しましたが、中盤以降の怒涛の展開と鮮やかな画面に圧倒されたよね。難民問題、現代アート、人身売買などの欺瞞や不可視の犠牲を暴きながらなだれ込む鮮烈なラストはちょっと忘れ難い。現代アートのトレンドに詳しい人の感想を聞きたいです。

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

制作と主演を務めたマーク・ラファロのインタビューなども読んだのですが、なんて推せる俳優なんだ…と思って……。デュポン社を相手取った公害訴訟を取り上げた社会派作品ですが、ラファロ演じるロバート・ビロット弁護士の超人的な努力と献身を思うと、巨大企業を相手にする裁判はそれほどまでに壁が厚いのかということを思い知らされてちょっと絶望する。「キャロル」のトッド・ヘインズ監督なので、題材から想像するよりずっと静謐で、穏やかな力強さのある映画になっていました。ちなみにロバート・ビロット氏ご本人もカメオ出演されているのですが、その佇まいが素晴らしくて、人間の生き様って外面(しかも全身)に現れるものなんだなあ~としみじみしましたね。ラストのラファロの台詞、その重さに打ちのめされます。

■ライダーズ・オブ・ジャスティ

デンマーク映画!髭面で粗暴なマッツ・ミケルセン!?という興味で観ました!不純!何もかもがダメなおじさんたちが集まってもダメなものはダメ、っていうね。それこそ自らの、あるいは他人の「有害な男性性」に痛めつけられてきたおじさんたちの話なのですね。で、何事かを成したいという野心もまた「男性性」の産物であろうと思うのですが、それをどう飼い慣らして自分も他人もなるべく傷つけずに生きていくのか、ということを考えさせられた。……ラストで。いや途中までナンセンス・コメディみたいなノリでおじさんたちが暴れ回るからどうしようかと思ったよ。全員が芸達者だからすごい面白いしめちゃくちゃ切ないんだけど。映画の中で、年若い少年たちが一番まともな価値観なのは、作り手の希望を反映しているのかなあと思ったりしました。意外なところでウクライナへの言及があって、欧州の地続き感がちょっとだけ理解できたり。

■マリー・ミー

ロマンティック・コメディ、略してロマコメだ!!王道の格差ロマンスの男女をひっくり返し、ジェニファー・ロペス演じるパワフルなトップシンガーが本当のパートナーを見つける話!いやもうね、ステージのシーンは当然ながら、ジェニファー・ロペスが出ているシーンのすべて、画面全体が発光したように光り輝いていた。眩しいっ!すべてが破格にゴージャス!ありがとう!!格差ロマンスとはいえ、二人の境遇の違いは収入や職業の違いであって、人間としての価値観の近さや、互いを尊重し合う大人の態度なんかが最初から丁寧に拾われるので安心してロマンスの行方を見守れるのが良かった。ていうか映画を観に行ったらジェニファー・ロペスのライブまで観れてお得!みたいな作品であった。歌詞もちゃんと訳がついてて演出意図が分かり易いし、マジで楽しいのでみんな観て欲しいが、自分が劇場に行ったときは、常連ぽいおじいちゃんと二人っきりだった。………。「ザ・ロストシティ」もあるし、大人の女性が主役のエンタメ作品が増えてきて、これからますます楽しみですね!

 

はい!!

長くなったので、とりあえず上半期のまとめは以上です!!

これからもこのペースで映画を観るのか!?環境が変わって観なくなったりするのか!?未来のことは何も分かりません!!!!

では!!!