7月もうっかり終わりかけですが、せっかくなのでちゃんとまとめておきましょうね!2026年前半に映画館で観た新作映画のベスト10と次点です!どうやら120本くらい観たらしいですが、それでも見逃したな~ていうのけっこうある。こういうのは一期一会だからね。このご時世においても、上映が終わった後に配信に見当たらないのもけっこうあって、気になる作品はなるべく観ておきたいな、という気持ちもありますよね。よね。
ということで、いつも通り、観た順です。好きなやつは選べるけど順番はつけられんのよ。個別に感想を書いたやつはリンクを張りました。もうちょっと頑張っとけばよかったね、自分。反省して(毎年言うやつ)。
なんか逆張り…??みたいになってるけど、ちゃんとブロックバスター系の映画も観てるんだよ。ただ今年の前半は公開規模の小さめの比較的パーソナルな作品がなんかすげー刺さったんだよな…配給、映画館、みんなありがとうね!!!!五体投地!!
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<特別枠>
★ モータルコンバット/ネクストラウンド
観た順2026年上半期ベスト10!
★ ぼくの名前はラワン
★ 唐人街探偵1900
★ マーズ・エクスプレス
★ サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行
★ 私がビーバーになる時
★ ナースコール
★ ペリカン・ブルー 〜自由への切符〜
★ シンプル・アクシデント/偶然
★ 霧のごとく
★ 君と僕の5分
観た順2026年上半期ベスト次点!
★ サリー
★ Shiva Baby シヴァ・ベイビー
★ Riceboy ライスボーイ
★ サンキュー、チャック
★ ボタニスト 植物を愛する少年
★ ボーイズ・ゴー・トゥ・ジュピター
★ シャオ・メイ/ローマ大決戦
★ カーンターラ 神の降臨
★ 急に具合が悪くなる
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『モータルコンバット/ネクストラウンド』
いきなり特別枠の続編で恐縮ですが、いいだろこっちは5年待たされたんだからよ…(数度の公開時期見直しを挟みながら、ってかワーナーが日本の配給事業から撤退したときはマジでどうなることかと思ったぜ)。『SHOGUN』でゴールデングローブ賞やエミー賞を席巻した真田広之の、受賞後最初の劇場公開映画がこれで良かったのだろうか。真田広之はそんなこと全く気にしなさそうなお人柄が色々なインタビューなどから伝わってきて本当に良いですね。今回も派手な衣装に身を包んで火を吹いてくれてありがとうね……(土下座)。
キャラ数が倍増した続編、楽しみと不安が半々くらいの気持ちで待っていましたが(劇場公開ありがとう!!)、エモーショナルなドラマを何本も並走させながらキャラクターの見せ場を手際よく散りばめ熱いバトルをたっぷり見せるという、なんかものすごい超絶技巧の脚本ですごかったですね!!!「モータルコンバット」という世界一の人気を誇る原作だからこそできる離れ業だとは思いますが、ゲームにまったく触れてない自分でもものすごく楽しかったのでマジですごい(その代わり『ネクストラウンド』くんには聞きたいことが100個くらいある。そもそもさあ…(長くなるので以下略))。
もちろんその脚本を成り立たせているのは、素晴らしい役者陣の最高の演技のおかげです!バトル要員はちゃんと動ける俳優を揃えたり作中でスタントマンに感謝を述べたりと妙に真面目な本作(大好き!)、バトルの展開だけでなくバトル中の会話や表情もすべてドラマの推進力となって超圧縮脚本を成立させていた。俳優自身が動けると、アクション中にシームレスに表情をアップにできるのが良いらしいです。なるほどー。
なんか続編をつくるには興行収入が微妙…というニュースも流れてきましたが、いやそこは何とか、ねえ!!!配信ぶん回そうぜ!!!
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『ぼくの名前はラワン』
ろう者でクルド人難民の少年が、英国で手話を学び居場所を確立してゆくドキュメンタリー!本人の聡明さ、タフさと教育の確かさだけが救いだよ!
手話という言葉を獲得したラワンが、水を得た魚のように生き生きと学び、自分や世界への理解を深めていくのが本当に良い。手話を使えるようになったことで、ろう学校では友達や先生と深く意思疎通でき、親友もできてラワンの世界はどんどん広がっていくのに、聴者の家族とはうまくコミュニケーションが取れなくなるのが寂しくて辛かったね…。
あと英国の移民政策のせいで何回も大変な事態になってしまい、そんなドラマティックな実人生を子供に負わせるなよ、と何度も思った。日本でも似たようなことがもっとひどい形で起こっているわけですが。でもろう学校の教育はすごくしっかりしていて、熱心な専門の先生方が子供たちの個性を尊重しながら彼らの学びをしっかりサポートしていて、ものすごい感銘を受けた。近年、英国では英国手話が公用語に指定されたそうで(そういえばニュースか何かで観た記憶がある)、手話というのは一つの言語であるという理解がもっと広まるといいね、と思いました。ろう者の自己決定というのは香港映画『私たちの話し方』でもテーマのひとつになっていましたね。
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『唐人街探偵1900』
19世紀最後の年、移民排斥に揺れるサンフランシスコ、凄惨な殺人事件の謎に挑む探偵、中華街のボス、清国から遣わされた役人たちの運命やいかに!の時代劇サスペンス!中華系移民たちの歴史と苦闘、先住民の誇りと怒りまで掬い上げ、義和団事件も絡んだ上にちゃんと犯人当てミステリーになっててすごいぞ!
まず、マジで時代設定が秀逸すぎてびっくりするよね!現政権の体制批判にならないように、しかし権力の腐敗や理想の政治を希求する民衆の活動をはっきりと描写し、国は人民のためにあるのだと宣言して見せる(だからこの義和団事件の前夜という設定なんだね)。また、それぞれに歴史上の災禍の傷を負いながら中華街に集う(広い意味で)ルーツを同じくする同胞たちのキャラクターが良すぎる。シリーズものらしく魅力的なキャラクター、かつ史実に基づいた細やかな背景設定があってフレッシュな驚きがあったし、チョウ・ユンファはそりゃあもう素晴らしかった(ホワイトの三つ揃え!!)。歴史や文化へのリスペクトもきちんとあって満州八旗の名乗りまで聞けるし、抑圧された人々に光を当てるし、正統派な時代劇ミステリーをきっちりやって本当にすごい!衣装やセットもみんな良い~。
劇場公開は限定的だったので滑り込みで観たんですが、各所配信やってるみたいなので気軽に言うけどおススメだよ!シリーズ未見でもぜんぜん大丈夫!前日譚だし、そもそも時代が百年遡ってるし。
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『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』
フランス映画伝統の社会派人情コメディだよ!知的障害者支援グループのサマーキャンプに紛れ込んだ気弱な強盗の話、で想像する100倍くらいの厚みと感情がある。気合の入った当事者キャスティングに圧倒されるぜ。このぬるい邦題はマジで反省しなさい、てかフランスの人情ドラマを全部これ系の邦題にする謎習慣、なんなの!?!?
監督・主演を務めるアルテュスはフランスの人気コメディアンで(才能がすごいな!)障害と社会をテーマにした表現活動で有名なんだそうです。へえ!で、その仕事を通じて知り合った福祉関係者や障害当事者の支援を受けての本作だそうですが、パンフレットでの監督インタビューなどでも伺える献身的な仕事ぶりが素晴らしく、高い評価を得ているのも納得だったです。支援される側とする側がその立場で分かれるのではなく(分断は容易に凄惨な暴力へと転じるだろう)、人間同士の対等な関係性の中で持続可能なコミュニティを築くこと、理想論ではなく具体としてどんな場があり得るか、そんなことをずっと考えさせられていた。われわれは、職場で、学校で、家庭で、人間性を取り戻さなければならない、そういう抵抗の実践でもあるよね。「健常者」と分類される人々においても、それぞれに固有の特性があり困難があり人生に迷い続けるのだから、どうにかしてみんなで協力してやっていく場を作らなければならないのだ。しかしこの映画自体は最初から最後まで切れ味の鋭いコメディで一貫していて、それも偉いよなあと思いました!!良いものを観た!
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『ナースコール』
慢性的人手不足の総合病院で、今日もプロフェッショナルに仕事を捌く看護師の高負荷お仕事映画!人間ってのは本当に、哀れで、愚かで、弱くて優しい生き物だねえ…。どんなに医療技術が発展しても、人間の心身を救うのは人間の手仕事以外にあり得ないのだと、希望とも諦念ともつかない気持ちになってしまった。生と死が行き交う汽水域の最端で、献身的に、持てる技能を尽くして、傷ついた人々に対峙する職業人たちの姿に心揺さぶられたあとの、ラストシーンの静謐な美しさといったらもう言葉も無いね。
総合病院に入院している人々なので、患者側にもそれなりの事情があり、理不尽な要求の裏に人間的な痛みと祈りがあり、でもどうしてもそれを掬いきれない社会的な状況があり、その間で板挟みの苦しみを味わうプロフェッショナルたちがいて、隘路を縫うように最善を尽くす人々がいて…。
語りの方向性はぜんぜん違うけど、製作陣の問題意識とか立脚する現実の課題(社会的弱者を包摂するためのフィロソフィーの弱さからくる、慢性的なリソース不足や社会≒スポンサーの無理解、ゴールの共有の難しさ)とかは『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』に近いんじゃないかなあとも思ったり。
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『霧のごとく』
戒厳令下の50年代台湾、兄の遺体を引きとるため、嘉儀から台北に出かけた少女の目を通して人々の苦しみといたわりを描くドラマ!重苦しく回顧される日々(50年代が最も逮捕・拘留された人数が多いんだそうです)の中に様々な人々の複雑な人生があり、希望も絶望も現在まで続く。日本統治下で教育を受けた本省人、転進のすえ本土から移住してきた元軍人、貧困のうちに放置されたままの地方、都会で新しい生き方を模索する女性たち、抑圧的な政権に与する者、社会の裏道を選ぶ者…。ここでは書き尽くせないほどの複雑で困難な人生を(日本はその困難さの責を負う)、それでも軽やかに、したたかに、人間性を手放さず生きてゆこうとする人々の描写があまりにも良すぎた。
弱く貧しく飢えて傷ついていても、人間の矜持として他者に手を差し伸べることが出来て、それが自分や誰かの命や心を救うということが繰り返し(本当に繰り返し)描かれ胸を打つ。人心は荒廃しきって復興の道はまだ遠く、自分と家族の命を守るのに必死で他人を思いやる余裕などなく、油断すれば(まさに自己責任で)飢えて死ぬ時代に、ほんの少しの人間性が、そばにいるはずの見知らぬ誰かにとってどれほど切実なことか。そうやって一緒に生きてきた「台湾人」というアイデンティティを再構築しようという試みなのかもしれないな。そして不本意な形で亡くなった人々を悼む終盤のタイトル回収シーンで大号泣…エピローグがあって助かった…。
で、この辺りの歴史を何にも知らないのを反省し、「台湾海峡一九四九」(龍應台 著)を読んだのですが、これがとっても良かったです。ひとまとめに語られがちな激動の時代を個人の経験で語り直すという本書の試みは、むしろ企画の元ネタのひとつかもしれないな、とも思いました。出版社のリンク張っとくね!→ 台湾海峡一九四九 - 白水社
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『君と僕の5分』
2001年、規制下で日本のポップカルチャーを愛する少年が出会った親友との鮮烈な日々!ままならぬ10代の苦さ、眩しさ、切なさ…(大号泣)個人的に、あんまりにも世代ど真ん中のあの時代、無神経で野蛮で逼塞して無力で愚かで、それでも輝かしきbest of my lifeだったね…(うわーん)
もう個人的な話しかできないので自分の話をしますが、90年代のJ-POPを席巻した小室ファミリー(これで通じる??むしろ分かる人は仲間では??)の中でglobeが一番好きだったけど周りに同好の士が見当たらず、それでもずっと聴いてて(もちろん作中のキーアイテムは両方持ってる)、だからまたglobeを好きにならせてくれて本当にありがとう!っていう気持ちで胸がいっぱいになってしまった。大好きな曲をフィーチャーして、こんな繊細で美しい映画を作ってくれて本当にありがとうね、監督…。
あの主人公の二人が、二人とも、自分と同じ時代を、どうか幸せに生きていてくれと願わずにはおれない。みんなそれぞれの場所で、どうにか生き延びてやって来たよね。あのラストのあとのエンドロール、本当にさあ…(泣きすぎて頭痛)。
あまりにもあまりにもだったので2回目も観に行き無事に大号泣したんですけど(2回目でよりいっそう刺さるタイプの作品なので)、高1で「FACES PLACES」が良いってきっぱり言えるの、美意識が確立していてえらいなと思いました(なにその感想)。いやもっとキャッチ―でポップな曲あるやんか。「FACES PLACES」、自分はアルバムだいぶ聴き込んでから好きになったから、大人っぽい曲ってイメージあって、それも含めてあの彼のキャラクターにピッタリだったなあと感動していた。あと小室哲哉はロマンチストなのでこの映画好きだと思う。知らんけど。
プライド月間である6月に公開された本作、前世紀末に中高生をやってた人は全員どうにかして観てください。観ろ。そしてあの野蛮な平成時代を総括しよう、それが生き延びた俺たちの責務だよ。
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『サリー』
台中で両親の遺した養鶏場を営む女性がマチアプを始めたら…?の軽やか人間ドラマ!映画史上最も優しいパリが観れるよ!(パリに謝れ)
自分で選んだはずの人生でも、世間一般の幸せと不躾に比較されたり、家族の中で損な役回りになったりして、胸張ってこれが自分の幸せなんだと言えるようになるまでには傷つくこともたくさんあるよね。普通の、善良な、仲の良い家族との関係も微妙に変化していくけれど、自分を蔑ろにされることに慣れてはいけないのだ。
主人公がほとんど一人で切り盛りする養鶏場の仕事ぶりや生活の手触りが丁寧で心地よく、当たり前のように背景を彩る山の景色は緑濃く、しっとりと瑞々しい。そして犬も鶏も大変かわいい。しかしマチアプの相手がパリ在住を自称する時点で最悪の展開ばっかり考えてしまってちょっと疲れた…映画で描かれるパリは大抵ロクでもないので(観るジャンルの偏り!)。この優しい女性がちゃんと納得のいく形で幸せになれますように、ひどいことが起きませんように、て祈りながら観ていたが、人情コメディの枠に収まる展開とオチで本当に助かった、ありがとうね…。
良い映画だと思うがひとつだけ、エンディングの主題歌は字幕が欲しかったな!
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『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』
親戚一同が会する葬送儀礼(シヴァ)の場で試されるZ世代のモラトリアム!優秀な同世代、成功した先輩方、無遠慮で不躾なオババたち、無理解な両親、全部がいっぺんに押し寄せてキッツいが、身に沁みる苦さとフレッシュな楽観があっていいね!
あちこちで同時進行的に交わされる会話の細やかなニュアンスがリアルで(親戚同士の噂話!)、観てるだけなのに「帰りてぇ~~」ってなった。いやダニエル(主人公)はだいぶ頑張ったと思うよ!まだ若いんだしさ!いろいろ取り返しがつく年頃じゃないか(という明るい後味が良かったね)。タイトルが想起させる「シュガー・ベイビー」、冒頭で示される通り主人公が割のいいバイトとしてシュガーベイビーをやっていて、そのことがただでさえ最悪な親戚の集まりにものすごい波乱をもたらすという、ほとんどスラップスティック・コメディみたいな展開になるのに、ダニエルの切実さとか若さゆえの真面目さが痛いほど伝わってきて大変だった。
一番「分かる~」と思ったのは、母親に「仕事が見つからなくても実家で暮らせばいいじゃない」みたいなことを言われたとき、わりと切羽詰まった状況なのに「それはイヤ」って即答したところ!分かる~~。あと若者を無神経に追い詰めるような大人になってはいけない…と身が引き締まる思いでした(そっち…)。
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『Riceboy ライスボーイ』
90年代、韓国からカナダに移住したシングルマザー親子のアイデンティティとルーツを巡る旅を繊細な映像で綴る人間ドラマ!タイトルが示すように、本作は移住を決断した母親だけでなく、自分ではそれを選べなかった少年の話でもある。子供は自分のスタート地点を選べなくて、周囲との差異に苦しんで思春期に上手くアイデンティティを確立できずに辛いこともたくさんあって、でも親たちも本当は、選択肢なんか無い人生で、諦めたり手放したりしながら、来し方を遡るように、拠って立つ場所を探し求めているのだと、いつか分かるときがくる…。
親たちがかつて後にしてきた故郷の、親と同じ言葉を話す人々の声、山々を潤す雨、知らないはずなのになじみ深い味の料理、それらが細胞のひとつひとつに染みわたるように、根無し草として生まれても、生まれた土地を離れて言葉を忘れても、どこかへ繋がっていて折り合いをつけなきゃならないのだと教えてくれる。
監督自身の経験をかなり反映しているそうで、自分のルーツから離れて暮らす人たちの葛藤と成長を詩情豊かな映像で繊細に描いて美しかったです。
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『サンキュー、チャック』
終わりを迎えつつある世界、誰も知らない男の"応援広告"が街を埋め尽くす中、人々はその時を待つ…そしてチャックとは何者なのか?物語の魔法が炸裂する人間賛歌!原作は未読なんですが、センスのいいアイディアに映画ならではの演出が綺麗にハマって素晴らしく美しかったです。
第3章から逆行する3部構成で、それぞれまったく雰囲気が違うのがまず面白い。あと主役のはずのトム・ヒドルストンが最初は全然出てこないのも、おや…?てなっていい脚本だよね。ちょっと終末ホラーっぽい第3章もかなり怖くて良かったけど(そういやホラー映画の監督だったね…)、第1章はすごくスティーブン・キングっぽさがあった気がする。グッド・オールド・デイズを書く方のスティーブン・キングだよ、もちろん。で、映画としては第2章の輝きが爆発的で、トム・ヒドルストンを温存(?)したのも納得の、魔法みたいな瞬間が永遠に続くみたいで本当に素晴らしかった。実は超自然的な現象が起こらないのは第2章だけなのに、一番現実からの飛躍を感じるのが第2章なんだよね。ちょっと『ビッグ・フィッシュ』ぽさもある。トム・ヒドルストンが出るのも第2章だけ。思い切ったなー!
しかしこれ、いわゆるセンイル広告が着想元なんじゃないのか、なあキング…(誰か聞いて来て)。
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『ボタニスト 植物を愛する少年』
中国北西部カザフスタン国境付近に祖母と暮らす少年のひと夏を詩のように綴る映画!全てが美しく、儚く、鮮烈で、夢のように遠い。中央アジアの乾燥した大地、オアシスの村に住み羊を飼って暮らすカザフ族の少年。資源開発の波は当地にまで押し寄せ、村の若い男は出て行き、余所者が土地を収奪し汚染し、人の痕跡は砂礫の中へ埋もれゆく。いつか失われることを知るかのように、少年はオアシスに繁茂する植物を採集し標本をつくる。来て去ってゆく人々、放棄された集落、戻らぬ家族が少しずつ、スクラップ帳に並んでゆく。そして鮮烈なマジックリアリズム!
少年の周囲には常に緑が滴り澄んだ水が流れ、しかし外の世界を意識した途端に背景は乾いた荒野で塗り潰されてしまう。荒野に踏み出した男たちはみんな姿を消していて、いつかこの少年も、という避けがたい予感が全編を覆い、その痛みが画面に映る全てを輝かせている…。カザフ族の集落が舞台の映像作品を初めて観た気がするが(ドキュメンタリーとかでもちょっと覚えが無い)、言葉も文化も完全に中央アジアの遊牧民族なので、中華帝国の版図はとんでもないな!と思いました。辺境あってこその中央、みたいなこともぼんやり考えたけど(特に兄のエピソード)、あまりまとまってないです。またいずれ(?)。
アンデスの高地を舞台にした『雲と大地のはざまで』も(もうちょっとユーモアがあるけど)同じようなテーマを撮っていて、こういうグローバルな単一化の暴力みたいなのって、どうやって抗っていけばいいんだろうね、という気持ちになった。当事者が幸せになれる形で、世界のユニークさを保持して、みんなが過不足なく暮らせるにはどうしたらいいんだ。でもこういう映画はその抵抗と連帯の試みの一つではあるんだよな。
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『急に具合が悪くなる』
全くの偶然、しかし確かな必然性を持って出会った二人の女性が対話と実践を通して社会の構造的課題に立ち向かう話!なんて強固な希望と期待!なにがすごいって、映画を観ている観客にも思索と実践を具体的に促し、そのためのツールまで提供してくれる、なんかすごいことをやろうとしていた映画だった。
200分近い上映時間はそこで語られる内容の密度からしてあっという間で、しかし監督が伝えたいことはこのサイズのこのフィクションの映画という形にしっくりと収まっている。現実の他者との出会いってすごく緊張したり消耗したりするけどそれでも代替のきかない経験で、それがそのまま映画になっていたような感じの鑑賞体験でしたね。なんか、こういう現実があって、こういう理想があって、そのためにこれをやったら結果はこうなるよね、だったらこういうアプローチとかどうかな、みたいな話を高密度で畳みかけて来るんだよな…映画でやることの枠を超えてないか?
6月に公開するのがいつから決まってたのか知らないけど、作中では具体的な日付が示されてて、それが映画と現実の境界をより一層曖昧にして監督がこちらの首根っこを掴んでくるようだった。君たちはまさかそこから見てるだけのつもりか?みたいな。
主演二人はもちろん素晴らしかったが舞台役者を演じる長塚京三がとっても生き生きと楽しそうで、初めて知ったんだけど俳優デビューはフランス映画なんだね!そういうプロフィールも込みでキャスティングされたのかなあ。
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うわーようやく書けた!!大急ぎで書いたから(もう7月末ですが…)ちょいちょい修正するかもしれないけどとりあえずこれで!!
7月も面白い映画がいっぱいあって楽しいよ!!!
では!!!