窓を開ける

今のところ映画の話をしています

映画「ボーダーライン」の好きなところを語る

今年はじめて見たんですが、普通の(普通の?)アクション映画だと思って見始めたら、あまりに良すぎて腰を抜かしたので語ります。しかしながら、語る主体は何度も申し上げている通り映画初心者であり、なんかすごい分析とかしてみたいもののおのれの力不足を痛感するだけなのは明白なので無理はしません。従いまして以下、ただの個人的なお気に入りポイントを羅列するだけの、ほぼメモになる予感がします。でもどっかに書きたかったんだよおおー。

いいですか、ちゃんと警告しましたよ?

期待するなよ?

 

※映画の核心に触れるネタバレはしてないつもりですが、まだ観てないなら観てね!としか言いようがない。

 

まず劇伴!!

なんですかあのかっこいい重低音は!EDMっていうの?←映画以上に不案内な音楽に言及する蛮勇。いやストリングスもあったような。重低音+ストリングスはかっこいいよね!「マッドマックス 怒りのデスロード」の音楽も大好きなんですが、同じ要素があるな、、、あ、あれ公開年同じか!びっくり。

そんで次の項で述べる撮影との相性がすごい・・・はあぁ(うっとり)。これは映画館の音響で聴きたかったやつですね~近くの映画館で爆音上映やらないかなあ~。

あ、作曲のヨハン・ヨハンソンは若くして亡くなられたそうです。R.I.P.

そして撮影!!

さっき調べて知ったんですが、「TIME/タイム」と同じ人か!あれもかっこよかったねえ~。

メキシコの町、フアレスや国境検問所の空撮、砂漠の夕暮れ、暗視野ゴーグル越しの単色の景色。キレッキレの音楽と相まって、心を打ち抜かれました。これアート映画だったっけ?と思うようなこだわり。ほんまオシャレ。空撮とかそれなりに長い尺だったような気がするんだけど、アクション映画としての緊張感とかスピード感を損なわない、ギリギリを狙っている感じもした。アクションは止めないでほしい、でもこの美しい(遠くから見ればなんだって美しい)景色をずっと眺めていたい、そんな気持ちにさせる圧倒的なビジュアル!!!これは映画館の大画面で見たかったなあぁ~近くの映画館で(以下略)。

スタイリッシュな脚本!!

脚本もめちゃ良かったですね、、、人命が砂粒のように軽いんで、全然いい話ではないんですけどね、、、トランプ大統領はこの映画見て壁をつくるぞて言い出したんかなて思っちゃったし、、、けっこう政治的にも際どい話ではある。

それは製作陣も十分に承知の上で、こういう語り口にしたんだろうな、というのもある。

で、語り手を堅気の凄腕ソルジャーにして、観客をそこからの視点にくぎ付けにする。だからメキシコ国境で行われている”汚れ仕事”について、善悪の判断を宙吊りにできる。だって堅気の国家機関でも人を殺すから(映画の冒頭で示される通り)。絶対に倫理観の話にしないドライさがかっこいいんよね~~。

全体的に説明省略気味なので、マジでこの人らなんなん、、、てなるんだけど、画面の中で何が起きてるか、については決して混乱させない丁寧さが光る。演出との組み合わせ?が良いのかも。堅気のエミリー・ブラントも「なんなの・・・」って顔してるから見てるほうも安心するよね。安心?

主要キャラ

エミリー・ブラントかっこいい~~!まあジョシュ・ブローリンベニチオ・デル・トロが胡散臭すぎてエミリー・ブラントを頼りたい気持ちがすごいだけかもしれん。観客がついていけそうなのエミリー・ブラントしかおらんのよ。エミリー・ブラントに信頼される若手の相棒が羨ましいぜ。あいつになりたい。

しかしながらベニチオ・デル・トロ演じる謎の傭兵の存在感ですよ。途中から出てきたのに最後ですべてを掻っ攫っていくからな。もちろん観客のハートもな・・・。いやマジでよ。ずーっと無表情で同じ顔してるのになー、観客の視線を独り占めだよ。ベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロは、身中に大きな空虚を抱えていて、というか本人がそのように語っていて、そのエピソード自体の真偽はともかくその巨大な空洞が透けて見えるような眼をしてるんですよ、すごいね。見えない空洞は人や物語を引き付けるからな。真空みたいに。

あー、ルックスでいったらエミリー・ブラント一強なんだけどなー!※個人の主観です。

まとめ

それでつまりは上記の要素すべてをまとめ上げた監督がすごい!!ってことです。ドゥニ・ヴィルヌーヴ、キーボードで打つの難しいなおい!調べたら「メッセージ」「ブレードランナー2049」とか撮ってるんですね。これは必見ですな(今さら)。最高の美意識、見せて欲しい。

最後に。

個人的には原題の「Sicario(暗殺者)」好きなんですが(最後に意味が分かるところとかオシャレ~~!てなるし)、日本向けに「ボーダーライン(国境)」てしたのナイス判断だと思いました。

あと、国境の地下トンネル、最近どっかで見たなて考えてて思い出しました。「ワイルドスピード MAX」でした・・・。テンションが違い過ぎる・・・。

おお、気付いたら2000文字を超えていた。やはり好きなものについて語るのは良いですね。お付き合いいただきありがとうございました!

 

映画「夢売るふたり」にひとつだけ不満がある

いいですか、ここから始まるのは「夢売るふたり」について不満を述べる文章です。少しでも不快に思う可能性がある方が読むのは全くおすすめしません。あと、少し前の記事でも触れたとおり、この文章を執筆しているのは映画鑑賞に関して完全に初心者です。「おまえ西川美和監督のこと全然わかってねーな」とか言われても、その通りですとしかお返事できません。その超初心者が、不満に思ったところを述べるだけの文章です。

いいですか。

警告しましたよ。

 

この映画、わりと評価高いんでしょうか。主演の二人は本当にすばらしかったし、阿部サダヲのチャーミングさが最大限発揮されていて当て書きかな?と思いました。

それはいいんですが、劇中での女性たちの描かれ方がちょっと悪意がありすぎる。例えば割烹料理屋のカウンターで阿部サダヲ演じる料理人にほれ込んで貢いで逃げられる女性たち。なんかこういかにもパッとしない容姿でプライドが高くて、世間知らずなのにそれを認める素直さもない、みたいな演出やめろや、と思っちゃった。いや、松たか子が演じる奥さんがそう思うのはいいんですよ、そういう台詞や描写もあるし、そう思ってないと騙しきれないでしょう。だけど観客に、「こういう奴らが結婚詐欺に合うんだなー、金持ちっぽいからまあいいでしょ」みたいに思わせるのはダメでしょう。阿部サダヲの魅力は、どんな女性でも心の底から大切にできて、なんの躊躇いもなく目の前にいる女性を一番に愛せることだとおもうのですが、その魅力も女性たちを露悪的に、しかも十把一絡げに描写した時点で半減するでしょ。

前半で騙された女性たちの扱いがそんな感じだったから、阿部サダヲのキャラクターを途中まで勘違いしてて無駄に混乱しちゃったじゃん。

そういう脚本?演出?上の要請がなくても、ああいう演出は端的にダサい。笑えるシーンと思って入れたのなら完全に失敗だし、それ以外の意図があるならそれは伝わってないのでその点でも失敗。8年前とはいえ、あれで素直に笑うような観客を相手にしてるのか?してないよね。

思い返せば鈴木砂羽が演じていた女性も、電車のホームで酔いつぶれるところとそれ以外の言動がちぐはぐで、あれ?と思っていたらそのまま終わっちゃったし(鈴木砂羽の迫力でなんとなく誤魔化された気がする)、田中麗奈の人もよく分からんかった。あと数秒ずつでも、心理描写や背景描写があったらWikipediaにある「女性の生き方をテーマに描いている」にも首肯できたかもしれないけど、あの演出・脚本では無理。「生き方」とか言うならもうちょっと丁寧に扱いなさいよ、ほんとに。

一般的に?クリエイターは同性の扱いに対して脇が甘くなる傾向にあるというけれど、これもそれなのか。他の作品を観ていないので分からないけど。でもそういうのを丁寧に、シビアに乗り越えた若い人たちが活躍しつつあるじゃないですか、たぶん。だから西川監督にはこんな雑な手つきで「女性の生き方」を扱うのはぜひ止めてほしいし、やめられないならそれにきちんと向き合ってほしい。知らんけど。

西川監督の他の作品を観る気力が失せるくらいがっかりしたので、ここに思考の整理がわりに書き留めました。お付き合いいただきありがとうございました!

人生で一番泣いた映画

ハウルの動く城」です!!!!(断言)

劇場公開時に見た時は、面白いけどよく分かんないなとか思っていたのに、その後DVDを入手して、数年に一回くらいの頻度で見直すと、毎回、ぜんぜん違うシーンで3回くらい号泣するはめになる。DVDで4回くらいは見た。最近は、自分がどれだけ泣くのか想像がつかなくて、怖くなってきてあまり見ていない。

自分でも何が琴線に触れたのか分からないまま、気付いたら涙を流し手探りでティッシュを探している。

例えばハウルの初登場シーン、「探したよ」で落涙。あるいは案山子がみんなの乗った木の板(元お城)が斜面を滑り落ちていくのを止めようとするシーンで号泣。あとはもう覚えていない。だってなにが涙腺を刺激したのか分かんないから。

ということで元々、宮崎アニメのなかではなんの思い入れも無い部類にカテゴライズしていた作品だったのに、見直すたびに強烈な印象を残していく不思議な存在に昇格したのでした。

なお、個人的にハウル役の木村拓哉木村拓哉史上のベストバウトだと確信しています。異論は聞かない。

映画鑑賞リテラシー育成計画

「育成」するからには、今現在、無いんですよ、リテラシー

去年と一昨年でアベンジャーズシリーズ全作品を追いかけて、それが本当に楽しくて、いろんな人のレビュー記事や考察を読み漁って、俳優さんのインタビューやそれまでのキャリアに触れ、「もっと映画見たいな!」としみじみ思いました。

アベンジャーズ以外だと、中高生の頃から振り返っても映画館・テレビ合わせて年に数本くらい、話題作を見ていたくらいなので監督の名前も知らない。スピルバーグ宮崎駿くらいですね、名前と作品が一致していたの。

ということで立案しました、映画鑑賞リテラシー育成計画。

たいした計画ではありません、毎日、映画を1本みるだけです。それだけ。ただし、見る映画を選ぶ基準を設けました。

まず、ここ30年くらいで公開された映画に絞る。それ以前の作品となると、今のリテラシーレベルでは楽しめない可能性が高い、、、服を買いに行く服が無い、みたいな。そのうえで、以下の三つの条件いずれかに当てはまる作品を見ていくことにした。

1.オスカーやカンヌでなにかの賞を獲っていて、比較的高い評価が確定している作品。

2.賞レースにはあまり縁が無いが、すごくヒットし、ファンも多い作品。例:ワイルドスピードシリーズ

3.一般的な知名度はそこそこだけど、信頼できる映画レビュワーが偏愛している作品。例:ヒックとドラゴン

この3条件を考えたのは、日々の限られた時間を割くからには「面白かった~」と思いたい、しかし自分では選べない(なぜならリテラシーが無いから)、そして自分の好みはとりあえず棚上げしたい、という制約をクリアしつつ一定のクオリティを確保するため。また、この条件をクリアする作品は、近年の映画レビューなどで取り上げられる機会が多く、作品それぞれの理解を深める機会が多そうだから。

自分で選ぶと偏る可能性があるので、地上波テレビやNHKBSなどで上の条件に当てはまる作品が放映される場合は積極的に視聴する。また、なぜかわりと良いラインナップでいろいろ見れるGAO!の無料動画も活用する。

という方針で進めさせていただきます。

ここ数年、同世代のレビュワーが様々な媒体で活躍していて、自分と同じようなドラマやアニメや漫画を見てきた人たちが、ものすごいしっかりした価値観を持って、素敵な映画をたくさん勧めてくれて、それを見聞きするのが好きです。この人が勧めるなら見てみたいなーと思わせてくれ、実際に見たらやっぱりすごく良くて、解像度の高いレビューを読んで感心して、自分なりにいろいろ考えて、というすべてのプロセスをひっくるめて映画鑑賞体験だな、と思いました。

ちょっと難しい作品や、古典も楽しめるようになるといいな、という期待を込めて、このセリフで締めます。

映画って、本当にいいものですね!