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映画「1秒先の彼女」を観たので台湾に行きたくて仕方がない

台湾に、行きたーーーーい!!!!!ぅわーーーん!!!!(渾身のギャグ)

いやー、めちゃくちゃ旅情を誘う映画だった…びっくりした…ノーガードで深刻なダメージをくらった…(そんなのばっかりだな)。いつかまた行きたいな~くらいの思い入れしかない自分でさえこのダメージ、もっと頻繁に通ってた台湾ファンの皆さんには致命傷になったのではなかろうか。

本作、主な舞台は台北なんですが、まあその時点で近代的な高層ビルと古めかしい雑居ビルや屋台が混在するあの風景に心を持っていかれるし、気軽な外食文化が根付いていて、安いお総菜を買って夕食にしたり、軽率におやつを買いに行ったりするのも、ああーそれーーーー、ってなる。主人公が年若い独身の勤め人なので、一人旅とか、学生旅行とかの動線と重なるところが多くて、それがこの感情の直接原因なんだよなあ。ああ。

で、なるほど台北が舞台なのね、とか思って油断していると急に(でもないんですが)新竹の古めかしいビーフン工場が出てきて、食べていきなさい、と引き止められてプラスチックの椅子に座ってお喋りしながら温かいビーフンをすするあの感じ。あああ。このシーンは主人公の過去やアイデンティティと密接に結びついていて、かといって全く重くなく、軽やかで優しい笑いに満ちた印象的なシーンなんですが、主人公が感じているであろう僅かなノスタルジーとほんの少しの後ろめたさに知らず知らずのうちにシンクロしてしまうような演出が巧みで、ほんともうダメ。ぬるい南風を浴びながら、生活のことは全部忘れて、不安定な椅子に座って美味しいビーフンをすすりたい…。

映画の冒頭で主人公に不思議な出来事が起きたことが示されて、その謎解きが後半のメインストーリーになるんですが、ここで主な舞台になるのは台湾南西部の嘉義県東石郷というところです。牡蠣の養殖で有名な漁港らしい。地図を見ても分かる通り、村のほとんどが湿地帯のようで、地形だけみると秋田の八郎潟みたいな感じに見えます。ここの風景がまあーーーー美しいこと!!!!南の海辺の湿った空気でソフトフォーカスがかかったみたいな町並みも、長い海岸線を縁取る穏やかな白波も、水平線まで続くあわい水色をした海も、何もかもがパステル画のように美しい。満潮になると道路が冠水するほど海抜の低い土地で、まるで水面を走るかのようなバスのシーンはあまりに鮮烈で、息を吞みます。「千と千尋の神隠し」に水面を走る電車が出てきましたが、あれが実写化されたような感じですね。ここに行きたい!!あの風景を見てみたい!!時間が止まったような静かな海辺の町で、小さな宿に寝泊まりして、毎日だらだら過ごしながらビーチコーミングとかしたい!!!ああー。

この美しい海辺の町で、主人公の過去との邂逅が描かれるのですが、その演出も良かったです。明るい未来を暗示する、陽光の中の若者たちと、それと対照的な、黄昏時に出会って夜の闇の中へ帰ってゆく過去との別れ。寂しいけれど悲しくはない、ためらう背中を押してくれるような優しい別離。映画全体の仕掛けが明らかになる重要な一幕なのに、抑制的で暖かく、それで余計に印象に残るんですよね。登場人物みんながちょっとずつ、赦したり赦されたりしてるんだな、というのが静かに語られる良いシーンで、それは振り返ってみれば、映画全体のテーマや方向性そのものなのでした。

ところでここまでほぼ景色のことしか書いてないのですが、ストーリーもとても良かったので!!

ジャンルとしては、藤子不二雄がSFのことを「すこし・ふしぎ」と定義(?)していましたが、まさにその言葉がぴったりのロマンティック・コメディでしたね!明るくて開放的なユーモア、普通の人々への優しい視点、率直な正義感、人間への信頼、過去との和解、など様々な希望を惜しみなく詰め込んだ、夏にぴったりの爽やかなラブストーリーでした!!ラストシーン、最後の最後までほんとうに素敵でしたよ!

細かいけど好きなシーンを上げると、お父さんが夜にいきなりおやつを買いに外出したり、お世話になってる警察のおじさんがいつも何かしらのおやつを持ってきて、子供たちと一緒に自分も食べたりするところです。そういう些細なシーンの積み重ねが、台湾への思いを募らせるんですよ!!台湾に!行きたい!!行かせろ!!

では!!!!

 

2021/11/30 追記!!

監督インタビュー記事を見つけたのでメモ代わりに貼ります!台湾映画、ほとんど見たことないから学びが多い…

台北人が南部へ旅する意味とは?『1秒先の彼女』台湾新世代の異端児チェン・ユーシュン監督インタビュー | 映画 | BANGER!!!