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映画「ギルバート・グレイプ」を観て思ってたよりジョニー・デップのことが好きだったかもしれない

いや今!?って感じでしょうけど……自分でもそう思うけど……こればっかりは仕方ないよね………(何が)。

 

傑作と名高い『ギルバート・グレイプ』ですが、2022年に劇場で4Kレストア版を観たのが初見でした!遅!なんかヒューマンドラマの名作って、観るのに勇気が要りませんか??自分だけ!?!?なのでテレビとかでやってるのを録画しても観ないまま、レンタルとかで見かけても後回しにして、気付けばこの映画の存在を認識してから20年以上が経過してたんですね。アホですね。

で、せっかく映画館で上映するならもうこの機会を逃すわけにはいかん!!って決意して、まあまあ決死の覚悟で観に行きました。かなり席が埋まってて、若い人も多かったので、さすが不朽の名作~~と思ったものです(なにその感想)。

こっから先、もうみんな観た前提で書くので!自分が今まで観てなかったくせにね!ごめんね!!!

ちなみに本記事、ただの自分語りですので…有益な情報とかは無いからよろしくね…

去年、はじめて観た時の思い出なんですけどね。

あの冒頭の、ジョニー・デップレオナルド・ディカプリオの兄弟二人でトレーラーの行列を待っているシーン、遠景から二人の会話が始まってぐっとクローズアップしてそれぞれの表情が映った瞬間に、いきなり涙腺が決壊してぼろぼろ泣いてしまったんですよね……まだ開始1分くらいだけど、大丈夫か自分、て自分でつっこむくらいには泣いた。なんなん。なんかこう、二人ともまだ幼いくらいに若くて、輝くばかりに美しくて巨大な才能があって、そこから現在までの、華やかだけれど困難な道のりを思って胸がいっぱいになってしまったんよね。心臓のあたりがぎゅーっとなって、比喩ではなくマジで涙が止まらんくなった。ハンカチで足りる?タオル貸そか?

で、今年(2023年)またリバイバル上映するっていうのでもうちょっと冷静に観れるかな…、て思って恐る恐る出かけたんですけど、ダメでした、やっぱりオープニングでぴーぴー泣きました。完全に「心のやらかい場所」に刺さってしまって、ちょっとでも触ると泣かされるやつになってしまいましたね。あーあ。

そんで、ジョニー・デップ、めちゃくちゃ繊細な演技をするなあ!と思って。今さら気付いたんですか!?はい……。

一家の実質的な大黒柱としての自負、家族への素朴な愛着、本質的な善良さと優しさ、田舎の人間関係に絡めとられることへの無自覚な苛立ち、その苛立ちへの罪悪感、抑圧された悲しみ、見知らぬ世界への漠然とした憧れ、そういうのが凝り固まって心身共に身動きが取れなくなってる感じ、そして不意に、しかし控えめに表現される心からの感情、それらが些細な仕草や僅かな表情の変化で実在感を持ってスクリーン上に映し出されていて、いや才能…!!って思いました。キャラクターの解釈と表現が完璧すぎないか??

もちろんラッセ・ハルストレム監督の手腕に依るところも大きいのでしょうが。特に兄弟姉妹、そしてベッキーの、溌溂とした生命力、衝突がありながらも互いにいたわりあう優しさとか、絶妙な細やかさで掬い取られていて素晴らしかったですね…。人間模様の切り取り方の匙加減がめちゃくちゃ上手い。だから登場人物の誰のことも嫌いになれないんだよね。まあ唯一、古そうな写真のみの登場だった長兄だけはちょっと腹立つけどな。作中では名前を出してはいけないあの人みたいな扱いだったが、お前ちゃんと仕送りとかしとるか??って途中から気になって仕方なかったね!

主役の家族を筆頭に、俳優陣の地に足の着いた演技とそれを丁寧に捉えた繊細な演出が、このちょっとファンタジックな成長譚を観るべき物語にしてるよね、と思います。もちろんその中心はジョニー・デップ演じる次兄なわけですが!

それからですね、本筋にはあまり関係ないところですが、深い悲しみで家から出られなくなった人を座礁した鯨に例えるの、『ザ・ホエール』で観たな??と思い(順番が逆だが、というかより正確に書くと『ザ・ホエール』を観た時にどっかで…てなって、今回『ギルバート・グレイプ』を再見して思い出した)、なにかアメリカ文学の伝統で元ネタがあるのだろうか、というのが気になりました!アメリカ人の(あんな海の無い町の)鯨の共通的なイメージってどこから来てるんだろう…ピノキオ?

ていうか90年代からゼロ年代、ブラピやレオ様はなんか普通にかっこいいよね~みたいな感じだったのにジョニデもいいじゃんって言ったらなんかちょっと趣味が変、みたいな扱いを受けたの納得いかないな!?今更だけどさ!!『耳に残るは君の歌声』とか『ショコラ』を公開当時に観てたから(今となってはなぜその渋いラインナップを観に行ったのか思い出せないが)、癖があるけど普通にかっこいいじゃん!って思ってたけど、みんなさてはティム・バートン映画の印象しかなかったな!?なんだよもう!!

閑話休題

ジョニー・デップ、まるで本当の自分を隠すみたいに派手に着飾ったり奇抜なパフォーマンスをしてそれが話題になりがちで、まあなんか繊細な人なんだろうなあとは思いますが。近作だと『L.A.コールドケース』も『MINAMATA-ミナマタ-』も良かったけど、でもがっつり巨匠の撮る作品に出てみて欲しいな~という気持ちもあります。諸事情あって難しいのかな…知らんけど。

ということで、『ギルバート・グレイプ』を観てジョニー・デップへの思い入れを再認識させられて大混乱した記録でした!古い映画を観るといろいろな発見があって楽しいね!

では!!!

 

2023/10/21追記!

なんかこの話、書いた気がする…と思って確認したら、去年の記事で全く同じこと書いとるやないか。もうだめだ。