窓を開ける

今のところ映画の話をしています

映画「12モンキーズ」の悪口を言わせてほしい

ダメと言われても書くが。

いや~~~無理よこれは~~~~~

久々に、物語そのものに腹立つ映画だったな~~~

基本的にフィクションのエンタメ大好きだから、怒りが湧く、とか存在が許せない、とか普段は一切ないんですけど。ストーリーが強引だったり設定に無理があったり、キャラクターの行動が理解できなかったり、単純につまらなかったり意味が分からなかったり、というのは時々あるとしてもさ。

あと、そもそも全く好みに合わなさそうなのは回避するしね。ある程度、評価の定まった規模の大きい映画で、ここまで外したのは他にない気がするわね。

あ~~~~~~~

ということで、やり場のない気持ちをここに残しておきたいと思います。何かの偶然でここに辿り着いてしまっても、読まなくて大丈夫です。ありがとうございました。

あ、2015年のドラマ版は観てません!!!!

 

良かったところ!

このへんは受賞歴もあるしな…そりゃそうよ。ここで褒めなくても誰かが褒めてくれるよ。

 

以下、ほぼ悪口になります。重大なネタバレを含みます。

なぜならオチが一番きにくわないから!!!!!

 

■理想論者をなめるな

まずあのブラピ演じる社会活動家なんですけど。登場シーンが強烈でその後の行動も一貫してエキセントリックなので(一貫してエキセントリック??)分かりにくいですが、言ってることは割と、っていうかかなりまともなんですよね。精神医療の在り方や消費社会・物質主義への批判、動物倫理の主張、などなど。主人公が口走った、細菌感染による人類滅亡についてはジョークとして受け流すところも、まあまともな判断(たとえ地球を守るためでも、普通は人類の数を半分にしようとか思いついてもやらないからね…)。

スリードの意図もあったのかもしれないけど、作中では数少ない倫理的にまともなキャラクターを、バカにしたような扱いにするのは何なのですかね!?

言動が奇矯なのは別に構わないけど(パイオニアってそういうものだし)、彼の顛末まで込みで考えると、口で理想論を語るような奴らはどうせ社会的には何もできないし、行動を起こしたところであの程度(主人公に失笑された最後のあれ)だろ?パパの言うこと聞きたくないだけだろ?っていう、製作側の冷笑的な視線が透けて見えてめちゃくちゃ嫌な感じだった。

理想を語る人間がいるから、人類がある程度まともでいられるのに、未来社会を扱ってるSF作品でそれはないだろ。理想論者は現実が見えてないただのバカとでも言いたいんか??そんな下らない主張のためにこのキャラクターを創造して、ブラピの演技力を消費したんか?なめんなよマジで。

 

■50億人を殺した大罪を運命の女に負わせるな

タイムパラドックスものじゃないですか、この作品。時間遡行によって過去を変えてしまい、それが未来の何かに影響を与えてしまうっていう。この作品の未来社会は人類の大半が死んでて、それをどうにかするためにブルース・ウィリスが犠牲になるっていう筋立てなんですけど、人類が大量死したのも、ブルース・ウィリスが犠牲になるのも、全部、ブルース・ウィリスが夢にみた運命の女のせいだよ、っていう救いのなさすぎる種明かしで、いやマジかってなったよね。

運命の女性である精神科医のサイン会で、細菌をばらまいたあの助手は一方的に人類の滅亡を予言していますね(当然、誰もちゃんと話を聞いていない)。さらに、彼女がブルース・ウィリスの話を信じて、細菌学者に電話をかけたときにこの助手は傍にいて、電話口の会話から細菌による人類絶滅のアイディアを得てますよね。つまり、最悪の未来を招いた犯人にインスピレーションを与えて背中を押したのがこの精神科医、本作のヒロインだったというわけ。ウソだろ…。

さらに、元はといえば、未来に残された壁の落書きや留守電のメッセージがあったからこそ、”12モンキーズ”が細菌ばらまきの犯人と推定されて、ブルース・ウィリスは心身を危険に晒しながら頑張ってたのに、それらはすべて、その推定を信じ込んだ(これはまあ仕方ない、ブルース・ウィリスがそう思い込んでたから)ヒロインによる間違ったメッセージだったんですよ。早とちりせずにあんな中途半端な伝言を残さなければ、ブルース・ウィリスはあんなに過酷な人生を送らずに済んだのに…。

この作中で発生しているろくでもない出来事すべて、ほぼ彼女が引き起こしてるんだよね。なんだそれ。みんながちょっとずつ間違えて、最悪の事態を引き起こす、とかじゃないんですよ。ただただ、本来は聡明なはずの女性が、軽率な行動をとったせいで人類が大量死するという。なにがやりたいんだ、この脚本。マジで人間をバカにしている。

 

■最悪の運命の環を完成さすな

本作の主人公であるブルース・ウィリスの見る夢の話なんですけど。演出上、夢の中の少年と夢を見ている本人が同一人物かどうか分かりにくいですが、まあタイムトラベルを扱っているSFなので、少年か撃たれた男か、どっちかは間違いなくブルース・ウィリスだよな、っていうのはすぐ分かるじゃないですか。

いや~まさか両方とはね!はっはっは!

……。………………。最悪だ!!!将来の自分が死ぬところを目撃してしまった少年はさておき(自分が撃たれたという認識はないと思うので)、ブルース・ウィリスのほう、運命の女と出会えたと思ったら自分は死ぬし、それを目撃した少年がこれから過酷な運命を辿ることも理解してしまうし、ほんとひどい(褒めてない)。主人公が絶望の中で死ぬ話そのものは珍しくないけど、その絶望が永遠に繰り返されることが確定した瞬間に死ぬ、っていうの、救いが無さ過ぎる!!!!バッドエンドのホラー映画か!?!?

ていうか、未来社会の学者たちさあ、ブルース・ウィリスが死ぬのわかってただろ!?自分らが始末するのが面倒だったから放置したんか??もしかして、そもそもブルース・ウィリスを死なせるために、あの銃を渡したんか??どっちにしても底意地が悪すぎる!!!!最低!!

 

■そんであのオチはなんだ

最後、あの未来の学者が飛行機の中で細菌を持ってる助手に出会うじゃないですか。あのシーンの解釈なんですけどね。

最初、1996年のあの人が偶然、あそこに居合わせたのかと思ったんですよ。その場合、2035年まで生き延びていることを考慮すると、いやお前、抗体もってたんか!?ってなって、じゃああの地獄のような未来社会はなんなんだよ、ブルース・ウィリスの犠牲は無駄じゃんか、真面目にやれよって思ってキレてたんですけど。なお、未来人(特に支配者層)の外見年齢は全く当てにならないというSF文脈を踏まえています。

ちなみにあの細菌に関しては、十数年で人類がほぼ絶滅することから、細菌自体が空気中で長く生存できて、人への感染力が非常に強く、感染した人は感染直後から潜伏期間中ずっと感染力を持ち、発症までの期間がめちゃくちゃ長く、発症した瞬間に死ぬ、くらいの特徴を持っているはずなので、あの助手(と空港職員)は、サンプルを開封した時点で感染していて感染力を持っていると思います。というか、そうじゃなきゃサンプル開封シーンの意味が分からんくなるので。

で、飛行機で隣の席に座って会話して食事して…って考えるとあの学者も感染するでしょ、たぶん。

次に考えたのは、未来の学者はちゃんと未来から来ていて、まだ抗体を持っていないパターン。その場合、未来に帰った瞬間に未来社会も全滅確定では??と思い至ってバッドエンド過ぎる!!つってまたキレてた。だって冒頭の、人間を地上に送り出すときの用心深さを鑑みると、地下社会の人々は少なくともウィルス原株には免疫なさそうだし、集団で暮らしてるし、しかもこの場合は指導者層から先に死ぬから全滅まったなし。感染してからワクチン開発して間に合う保証はないでしょ。そんなリスクを冒すかなあ…って考えると、抗体が無いまま、助手が感染してるのを知らないまま会いに来た、っていう解釈が妥当な気がするので、未来の人類も絶滅しますね、これは。

その次に、未来の学者は抗体をもってから1996年にやってきたパターンを考えてみたんですけど。それだと抗体はさらに未来の、ウィルス原株を手に入れてワクチンができた世界から手に入れたはず。それができるんだったら、ていうかあんなピンポイントでタイムトラベルできるなら、あの助手にもっと前の時点で会いにいけたじゃろ!?なんでブルース・ウィリスが死ぬまで傍観したん!?ってなって、意地悪すぎてキレてた。

「I'm in insurance.」という謎の台詞をどう理解するかで解釈が分かれるのかなあとも思うのですが、どの解釈でも救いが無さ過ぎてだめ!!!!帰れーーっ!!(?)

なお、個人的には蓋然性が高いのは2番目の解釈だと思います。最悪だ!!!

2番目の解釈があり得ると思っているのはもう一つ別のシーンに根拠があって、ブルース・ウィリスが最初に1990年に送られたとき、昆虫を採集するのに容器が無かったから食った、って報告して嫌な顔されてたじゃないですか。だから体内に取り込んで持ち帰るのは無し(意味が無い)、っていう理解でいいかなあと。

もうやだ!!!バッドエンドにしかならん!!!最低!!!

 

キレちらかした終りに

そして何よりも腹立たしいのは、こうしてここで自分がきいきい怒っていることこそが、製作側の思う壷かもしれないってことですよ!!!きーっっ

 

ということで、思ったことは大体ここに書けたのでもう忘れなよ、自分!

なお、本稿に記載の解釈はあくまでも一個人の意見ですし、正解/不正解を確認する予定はありません。話半分に読んでよね!!!

では!!!!

 

7/27 追記!

上記の文中で細菌とウイルスを混同しまくっていますがご容赦ください…ださ……。